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「「エルサレム」亭の静かな対決」警視リチャード・ジュリー5、マーサ・グライムズ

シリーズ5作めで「作者にとって一番思い入れのある」と言われているヒロインが登場するとのことなのだけれども、確かに魅力的ではあるものの、ほとんど通りすがりのようにリンカーンの墓地に現れてあっという間に消えてしまい。 実際に出会ったジュリー警視…

「「悶える者を救え」亭の復讐」警視リチャード・ジュリー4、マーサ・グライムズ

あ、今気付いたら「警部リチャード・ジュリー」だった表記が「警視」になっていたので今回から変更します、多分新しい版だと古い分もちゃんと直ってると思うのですが(図書館で借りているので古い版なんですよね)、まあ昇進が3巻なのでそっちに合わせてち…

「「鎮痛磁気ネックレス」亭の明察」警部リチャード・ジュリー3、マーサ・グライムズ

2冊同時に借りたせいか、間違えて3作めを先に借りてしまったもので、気付いたらロンドンの警部とイギリスの片田舎の青年紳士(どちらも40代でしたか、えええ、メルローズそんな年齢だったのかw)がナチュラルに休暇を一緒に過ごす予定なのはまだともか…

「「化かされた古狐」亭の憂鬱」警部リチャード・ジュリー2、マーサ・グライムズ

間違って3作めを先に読んでしまったのですが、ロンドンの警部リチャード・ジェリーシリーズの2作め、あと元伯爵(その他諸々)のメルローズ・プラントも前作と同時に出てきているのですがどうも次の話からはかなりしれっと出てくるようです、なんで事件現…

「「禍いの荷を負う男」亭の殺人」警部リチャード・ジュリー1、マーサ・グライムズ

「禍いの荷を負う男」亭の殺人 (文春文庫 (275‐29)) 本を読む前からメルローズという名前は聞いていて(男か女かすらよくわからなかったのだけれども、実際この名前ってどうなんだろう、他で聞いた覚えはないですが)、どんな人物なのかな? と漠然と想像し…

「金曜日ラビは寝坊した」ハリイ・ケメルマン

正直聞いたことのない作品で(「九マイルは遠すぎる」は聞いたことだけ)、あまり馴染みのないユダヤ教の聖職者“ラビ”やユダヤ教のことがわかる小説、というふうに紹介されていたんですが、確かにこれを読んだだけである程度はわかるなぁ。 ラビは本来聖職者…

「笑う男」クルト・ヴァランダー・シリーズ4、ヘニング・マンケル

ヨーロッパ(スウェーデン)を拠点に、東南アジアを股に掛け、後ろ暗いところがあるのではないか、ということになるとむしろ日本人辺りのほうがその辺の事情にはピンと来るものなのかなぁ? 正直、この話のネタバラシはかなり後になってからされているんです…

「ダ・ヴィンチ・コード」下、ダン・ブラウン

聖杯っちゅーのは、えーと、テンプル騎士団が見つけたとされている人類の叡智がどうの財宝がどうのってそういうシロモノでしたっけか(日本人にはこの単語そのものくらいしかいまいち実感がないんですよねぇ、なんか追われてる物くらいにしか)(もうちょっ…

「ダ・ヴィンチ・コード」中、ダン・ブラウン

正直言って、この話を読む前にどんな期待(もしくは偏見w)を持っていたんだかを上手く説明できないのですが、なんとなくもうちょっとこう、謎解き部分は「扇情的」な内容を想像していたような気もしますし、逆に現代事件部分がここまできっちりとエンター…

「ダ・ヴィンチ・コード」上、ダン・ブラウン

一言で言うと図書館に2セット並んでいたから借りた、というだけの動機なんですが(評価が高い本を読みたい気持ちはわかるんですが、最新ランキングだけが好きな人多いの謎ですねぇ)、思ったより面白いというかメインの“謎”はまあ置いといて。 むしろ登場人…

「エリザベス」トム・マクレガー

正直借りた時点で表紙が映画のものだったので、「ああ、映画のノベライズなんだな」ということは考えたのですが、うーん、端的に非常に文章が読みやすく、実際の歴史を知っているとちまちまぽちぽちと引っ掛かる部分はあったものの、映画的な改変なんだな、…

「白い雌ライオン」クルト・ヴァランダー・シリーズ3、ヘニング・マンケル

正直この本を読んだ時点で「このシリーズ読んできて良かったぁぁぁぁっ!」と心の底から思ったんですが(それ以前は若干、珍しい国だし、というお付き合い的な感性で読んでいたことが否めませんw)、なんでこんなに違って感じられるんだろう、と思って解説…

「リガの犬たち」クルト・ヴァランダー・シリーズ2、ヘニング・マンケル

リガというのは旧ソ連邦構成国、最初に独立したラトヴィアの首都のことで、大雑把に言うとこの本の舞台になったのはその独立の直後の設定で、まあ、ぶっちゃけましてこの本が実際に当時のラトヴィアの雰囲気を知るのにいい、と言うつもりはないんですけども…

「偽りの目撃者」マイロン・ボライター2、ハーラン・コーベン

面白かったのかというとそうでもないのだけれども(なんというか、読んでる人には概ね最後の部分の「からくり」すぐにわかったと思うんだよね、分岐点はホテルの密会辺り、あの辺から収束しててくれれば良かったんだけど、それもそれでリアリティではないの…

「殺人者の顔」クルト・ヴァランダー・シリーズ1、ヘニング・マンケル

スウェーデンというのは、現在(2010年)実際にどうなっているのかまではわからないんですが、どうもほぼ無条件で移民を受け入れている唯一の国、ということになるようで、人口比が抱えられないほどになっているとか、実際難民認定には到底届かないよう…

「灰とダイヤモンド(上」アンジェイェフスキ

ポーランドの戦後問題はまずそもそも「被害者であるのか/加害者であるのか」というところから逃れられないのだと聞いたことがあるのですが(すごく端的に言うと、ドイツ軍による占領がかなり早い時期に行われてしまった関係で第二次世界大戦のほとんどをド…

「アイヴァンホー(上」ウォルター・スコット

大雑把にフランス王とイングランド王(フランス王はさっさと国帰っちゃったけどね)(イングランド王は実際には十字軍から戻っても国には戻らなかったね)の連れ立っていった、というか第三回十字軍。 かつてフランスのノルマンディー地方からの侵略があった…

「アルフレッド王の戦い」C・ウォルター・ホッジズ

アルフレッド王というのはそもそも彼のお父さんの代に(末っ子だったっけ? ともかく直接王位を継いだのではなくて、お兄さんたちが順に戦死していったような時代でした)イングランドの七王国の統一を始め、当時はまだ首都ではなかったロンドンを含む南部イ…

「ジェヴォーダンの獣」ピエール・ペロー

“ジェヴォーダンの獣”というのはこれ自体が一つの結構有名な過去の逸話で、要するに女と子どもしか狙わない、という獣が何年もの間、フランス南部のラングドック地方で何百人単位で殺し続け、フランス王宮の命令で一旦“獣”の剥製が提出されたものの。 その後…

「断崖の骨」アーロン・エルキンズ

この話に正直、パウンドベリー人(愛称・パミー)が関わっていることは、ほとんど旧友の登場と相前後して察することが出来ると思うんですが(これ自体は謎の本質ではないというか、パミーの記述が濃すぎると思うんだよね、無関係だとすると)(いやまあ、関…

「生贄たちの狂宴(下」デヴィッド・ヒューソン

本を最後まで読み終わってみると、何人もの思惑が絡み合った非常に複雑な「仕掛け」だった、ということが判明し、正直、この犯人の動機がわかるか、というとそういうことはないんですが(でも同情の一つも請うでもなく、さっさと消えてしまっていますし、そ…

「生贄たちの狂宴(上」デヴィッド・ヒューソン

まあものすごく正直に申し上げて「イギリス人が書いたイタリア・ローマ」の警察小説、というのが妙にしっくりくるのは多分後知恵というものだとは思うんですが、でも、主な語り部である相方を悲劇的に失ったばかりの若手警官を筆頭に。 今まで順調に歩んでき…

「死者の季節(下」デヴィッド・ヒューソン

ニック・コスタの父親は共産党のちょっとした地位にあった政治家で。 二人の息子と娘は彼が一から作り始めた農園で暮らし、カソリックの宗教教育があったために学校にも行かず、家の中で本を読み、上から弁護士・刑事・画家になったそうですよ、見事にブレっ…

「死者の季節(上」デヴィッド・ヒューソン

とりあえずこう、主人公であるニック・コスタ(ローマ市警の若手)が、重い出来事に遭遇した後の2作めを先に読んでしまったのでもう少し堅いイメージだったんですが(なのでちょっと紋切り型の登場人物とバランスちぐはぐだったっつーか)。 なんだ、ニック…

「送り火」重松清

これは京王線だよなぁ? とこれを読んだ人が呟いていて、それならと思って手を出したのだけれども、なんというのか、沿線にある時代に取り残されたかのような(消えつつある古い建物と銘打たれたスライド写真集を見ても「あれー?」と思う域ですw 多分地価…

「スリー・アゲーツ−三つの瑪瑙」五條瑛

個人的に「日本と北朝鮮のそれぞれの家族の間で揺れる男」という部分をなんとなくさらっと読み流してしまってから気付いたのだが(相手の信頼を勝ち得、ほとんど目的の部分を告げず、それぞれの駒にほとんど負担がないような事態の進め方は実に感心しました…

「プラチナ・ビーズ」五條瑛

正直言って、話のパーツは精密だと思うし、≪社員≫であるアナリストの葉山の父親代わりの恩師へと寄せる感情には胸をしばしば胸を打たれるし、弟の吾郎だとか、同僚の無口な女性の野口だとか、在日米軍である(純血の日本人なのに中身が完全なアメリカ人w)…

「地図のない街」風間一輝

ハードボイルドに分類するのが多分近いんだろうなー、と漠然とは思うものの、それに相応しかったのはせいぜい最後のページ付近の数行といったところで、それもなんだか、全くそこらのチンピラとは格が違う人間が、怒りに駈られて一瞬だけ地上に降りてそのま…

「「五つの鐘と貝殻骨」亭の奇縁」警視リチャード・ジュリー8、マーサ・グライムズ

どちらかというとメルローズのほうが気になる人のほうが多いのではないかと思うのだけれども(というか、こっちのがモテそうな気がする、貴族過ぎるのが駄目なのか、爵位捨てても歩く高貴だよな、本気で)、作中では相変わらずジュリー警視が無双にモテる。 …

「双頭の鷲(下」佐藤賢一

まあ、こういう一生涯を扱った物語の後半生が勢いが落ちる、というのはある意味で仕方のないことというか、上巻のほうが面白かったな、というのが実感ではあるのですが、でも全ての親子関係が「綺麗にまとまった」のはちょっと蛇足に感じたというか。 (お嫁…