らてんあめりか

「インカ帝国−太陽と黄金の民族」カルメン・ベルナン

先に同レーベルの本で「マヤ文明」を読み、これが済んだところで「アステカ王国」を読もう、ということを目論んでいるのですが。 まずマヤ文明は一旦発見されていたものの忘れ去られていたもので再発見という過程と、その後の素人同然のアマチュア発掘者が好…

「パナマ運河史」河合恒生

この本で扱われていたのは「もう1冊」のパナマ運河の本とはジャンル違いの(同年出版ですが、とても相互補完的でよろしいと思います、こちらが後発で、ぶっちゃけて結構手直ししたよね)、アメリカの南北大陸における文脈の中のパナマ運河というか。 レセッ…

「中南米−ラテン・アメリカの政治と経済」山本進

なにぶんにも1960年ちょうどに書かれた本なので、アフリカやアジアの地にヨーロッパの植民地が数多く残り、という時代なのですが(1960年代にアフリカの国々は独立を果たしたわけなのですが)、記述が古びていない、というと褒め言葉でしょうが扱わ…

「マヤ文明−失われた都市を求めて」クロード・ボーデ/シドニー・ピカソ

さすがに、“マヤ文明そのもの”に興味があった、という人にとっては肩透かしの内容なのではなかろうかとは思いますが、この時代を前後してまとまっているこの大陸の史料(歴史を語る目的で書かれたものが史料、それ以外の実用記録や物の証拠が資料)を読むつ…

「略奪の海 カリブ−もうひとつのラテン・アメリカ史」増田義郎

この辺の歴史に全く詳しくなければ特に違和感はないかな、と思うんですが、スペイン(本の中では一貫して“エスパニャ”)の対イングランド(この時代だと正確には)のアルマダ海戦って要するにイングランド本土への侵略目的だった、という記述が皆無とか。 (…

「パナマ運河−その水に影を映した人びと」山口広次

この本によると要するに、パナマの独立に関してアメリカの後押しを引き出す、と言って無理にねじ込んできたフランス人が(フランス人レセップスの“パナマ運河”計画関係者)、独立後のパナマにて外交的な地位を要求し。 その足でアメリカに直行、パナマ政府の…

「物語ラテン・アメリカの歴史−未来の大陸」増田義郎

まあさすがに“ラテンアメリカ史”をゴンドワナ大陸から語り始める本は他になかなかないのではないかなぁ、と思わないでもないんですが(中南米だとまだ地名ですが、ラテン・アメリカともなると人種から来た名称ですよね、一番遠い)、要はそこから分化して以…

「貧困の精神病理:ペルー社会とマチスタ」大平健

まあ、一言で言ってしまえば“マチスタ”というのは精神医学の用語でもなんでもなく、土地の男たちが日々心掛け、女たちが諦めとともに許容し、男の子どもたちが恐れながら「憧れる」将来像ではあるようなのですが(一言じゃねぇな)。 日本に置き換えるともの…

「重いくびきの下で−ブラジル農民解放闘争」フランシスコ・ジュリアン

この地の農民の立場を表すのにわかりやすいかなと思うのは、この著者さんが公の場で「カンバネス」(カンボがだいたい日本の“田んぼ”に相当)と農民のことを表現した時。 あまりにも過激すぎる、という非難を受けたという辺りでしょうか。 地主制を基礎とす…

「ラテン・アメリカ史」中屋健一

出版が1964年、ということはキューバ革命を経ての社会主義化が宣言されたことがちょうど同時代で(1961年)、メキシコに買い出しに来た彼らが、様々な日用品雑貨を買い込んでまた戻っていくことを非常に憂慮していたのですが。 (よく考えてみると農…

「戒厳令下チリ潜入記−ある映画監督の冒険」G.ガルシア・マルケス

まあガルシア・マルケスの名前くらいは聞いたことがあるにしても(南米の小説家、というところまでが出てきて、あとはどこで聞いたかも思い出せない)(のが私です、そして多分この手の人はけして少なくないかと思います)、チリという国の形までは頭の中に…

「アマゾン源流「食」の冒険」高野潤

正直申し上げてこの本を“逞しい”と見なすかそうでないかは、性別によって違ってくるのではないかと思うのですが、いや、もちろん日本人だしわかるんですよ、自分が「撮っている」対象であるところの野生動物食べるのってなんか違うなぁ、とかいくらなんでも…

「キューバの社会主義(下」P.M.スウィージー

というわけで、いいこと尽くめだった上巻に比べ、下巻の展望はまだまだ見えず、「サトウキビの機械収穫」が可能になったという部分に関しては掛け値なしに希望としていいとしても(植え付けよりも収穫が大変なのはわかるんですが、植えすぎて収穫されずに腐…

「キューバの社会主義(上」P.M.スウィージー

ある意味でショッキングといえる本で、先入観を抜きにするとここに出てくる「アメリカ帝国」(中南米においてはそういう存在なのだそうです、別の本より)の存在は正直一昔前のやりたいことがよくわからない出来の悪い悪役にしか見えない。 そしてソ連邦筆頭…

「メキシコ革命−近代化のたたかい」増田義郎

「古代アステカ王国」の続刊にして、その直後から書き始められた本で。 要するにスペイン人の中米・メキシコの地アステカ文明への侵略、その後のスペイン支配、正直に言えば私はコルテスがこの地を治めた場合、もう少し事態はマシだったのではないかと思えて…

「幸福な無名時代」G.ガルシア=マルケス

ルポルタージュとしては確かに若干どうかと思いますが、すごく面白いので不問です、そして人間的には鵜呑みにしても構わなさそうなので、別にいいです。 間違ってて問題がありそうなのは「貨幣に額面が書いてない」という辺りくらいでしょうか、でもさすがに…

『The世界遺産』古代都市チチェン・イツァ (メキシコ)

チチェン・イッツァ−Wikipedia 中国の紀元前6世紀くらいの古典に「土星の公転周期が13年なので13歳で成人だ」ということがかなりナチュラルに出てくるのですが、ぶっちゃけて、昔の人の天文知識はなにがどうしてどこがどうつながっているのか…

『沸騰都市』#6 サンパウロ 富豪は空を飛ぶ

サンパウロ市−Wikipedia 正直、前にこの都市の番組を見た時も中学生の子が(開業医の息子さん)、自動車で送り迎えされる学校との往復のみで外に遊びに行く習慣がない、ということが言われていたんですが、今回も含めて、そこまで「治安が悪い」と…

「私のこだわり人物伝」チェ・ゲバラ 革命への旅 #4 美しき革命家

ボリビア−Wikipedia あー、なんだろうこの国、、、特になにがどうとは言えないんですが、秩序がない? まともな政治家もぽちぽち出てるよなぁ、クーデターで倒されるけど、というか過去にクーデターが百回ってそれなんの数字ですか一体、ねぇ。 と…

「私のこだわり人物伝」チェ・ゲバラ 革命への旅 #3 純粋すぎた政治家

キューバ危機−Wikipedia あー、ゲバラさんに対し「能力はあったと思うんだけど、部下からの受けはイマイチ」とか評してる文面があったんですが、嫌われるとか嫌われないとかビタ一文事情としては間違ってないと思うんだけどなんかその表現違わない…

「私のこだわり人物伝」チェ・ゲバラ 革命への旅 #2 革命家誕生

キューバ革命−Wikipedia あー、なんちゅうか、別に悪いとは言わないんですけどよ、10人乗りくらいが標準のレジャーボートに乗って南米の地からキューバに行った84人が、どの時点で「12人」になってしまったのかがすごく気になるのは私だけで…

「私のこだわり人物伝」チェ・ゲバラ 革命への旅 #1 若き放浪者

チェ・ゲバラ−Wikipedia 正直、革命家と言われたところで「?」と首を傾げてしまうというか。 たまに店頭でいまだに関係する本を見ないでもないんですが(私の趣味のせいと言えなくもないけど、中公文庫の『ゲリラ戦争』は最近新装丁で出てますし)…

「ペルー」目で見る世界の国々10、M・M・ロジャース

南米の独立国の一つで(実は植民地というか、海外領土が一部に)、ブラジルと国境を接していて、かつてスペインの支配下で、と書いたところで特に特定出来るというわけではないんですが、この地にあったインカ帝国の中心部だったんだよ、というとそれなりに…

『世界遺産』#569 サカテカス歴史地区(メキシコ)

サカテカス−Wikipedia スペイン人がある日やってきて、銀山の開発をして街を作って帰って行く時(というか、追い出されてた時、要するに独立戦争かね)にちょっと銀山が荒れてしまいましたが、現在は元気よく世界一の生産量を誇っているそうですよ…

「古代アステカ王国−征服された黄金の国」増田義郎

現在の中米メキシコの地に、本土再征服≪レコンキスタ≫を済まし(イスラム教徒との闘争ですね)、その頃欧州の地で流行っていた「冒険譚」をそのままノンフィクションと信じていたスペイン人が降り立った、という時点でなんか嫌な予感がするものですが。 まあ…

『世界遺産』#566 リュウゼツラン景観とテキーラの伝統的産業施設群(メキシコ)

テキーラ−Wikipedia なにはともあれとにかく酒ですよ。そういえば、前にワインしか作れない島の(クジラも獲れるけど)文化遺産登録ってあったなぁ、とか思い出したんですが。メキシコの地酒、というより一部地域の一部の変種以外は「テキーラと認…

「されどブラジル−特派員の見た第三世界」飯倉健次

冒頭から“ブラジルの食糧危機”に関する日本のドキュメンタリー番組が語られ。 ものすごく正直申し上げれば、確かに「普段は全く存在しない抗議活動」でも。 後ろ盾にNHKがいて、相手がブラジル政府(日本を無視しにくい)、ともなれば喜んで協力しよう、…

「海賊キャプテン・ドレーク−イギリスを救った海の英雄」杉浦昭典

例えばまあ、とある海軍将校の裏の顔が海賊だった、などと聞いてしまえば、なんとも言えない嫌な気分になるものではないかと思うのですが(海賊自体に反権力めいたロマンはあるけど、権力と結びついた違法行為は全然別の話だよね)。 当時すでに“世界一有名…

「サンバの国に演歌は流れる−音楽にみる日系ブラジル移民史」細川周平

ブラジルの日本人社会の中にあったのだという“勝ち組”“負け組”というのがどうにも理解できなかったんですが(いや、なんか日本の戦争と絡めて記述してあったもので;)、背景は無視して成功者とそうでないグループってことでいいのかなぁ? 日本人にとっての…

「幸福な無名時代」G.ガルシア=マルケス

ルポルタージュとしては確かに若干どうかと思いますが、すごく面白いので不問です、そして人間的には鵜呑みにしても構わなさそうなので、別にいいです。 間違ってて問題がありそうなのは「貨幣に額面が書いてない」という辺りくらいでしょうか、でもさすがに…