日本近代史

「日本貿易入門」松井清

1962年、戦後17年目の刊行(一応高度経済成長期に含まれてるのかなぁ、自由化に関しての話はすでにされていますね)、個人的に欲しかったのは明治初期の貿易の歴史だったんですが、明治初期の頃の低廉な賃金によって支えられた日本の輸出産業、という…

「その男、はかりしれず-日本の近代をつくった男浅野総一郎伝」新田純子

この本の中に出てきた人物の中で全くわからなかったのが(いや名前を見たことくらいはあるんですが、周辺読んでるし)、どうも日本郵船に深く関わってる郷誠之助とその父親である郷純造だったんですが、郷純造が川崎八右衛門の舅ってのもなんか重要案件っぽ…

「日本の企業家と社会文化事業-大正期のフィランソロピー」川添登/山岡義典

フィランソロピーよりもひょっとしたら日本人には「ノーブレス・オブリュージュ」のほうが馴染みがあるかもしれないくらいなんですが、企業の社会責任みたいな概念で、正直日本の社会に根付いていたことがあったのかな、どうも企業単体の良心に委ねられてい…

「第一次世界大戦と日本」井上寿一

前に『政友会と民政党』という同じ著者さんの本を読み、どうも微妙に尻切れの内容だったような、と認識していたんですが、それどころじゃなかった尻切れなのは現実か!! ということがよくわかりました、もう反体政党でも政党政治が続くなら歓迎ってどんな状…

「明治の東京計画」藤森照信

明治の東京計画 (岩波現代文庫) 作者: 藤森照信 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2004/11/16 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 17回 この商品を含むブログ (16件) を見る 銀座煉瓦街計画が若干時代に早かった、というのはよく聞くものの(でも、本の中…

「会社の誕生」歴史文化ライブラリー5、高村直助

本の中で坂本龍馬の海援隊のことを「日本で始めての会社の原型」とするのは全くの見当違いだ、ということが語られていたんですが、確かに軍隊に近く、政治には関与しない、と明言されているにも関わらずそれに類する活動があったのは会社らしくはないながら…

「江戸が東京になった日-明治二年の東京遷都」佐々木克

もともと京都から東京への「遷都」が明言されているわけではないんだよね、というのは、多分一旦調べたらさくっとわかるせいでしょうが結構前から話は聞いていまして、そこまで興味があったわけではなく、まあ、どちらかというと明治2年から行われたという…

「長州奇兵隊-勝者のなかの敗者たち」一坂太郎

ちょうどこの一つ前に司馬さんの本を読んでいたんですが(司馬史観への批判本みたいなものも出しておられるみたいですね)、そこで語られていた「長州はもともと3分の1の土地に毛利氏の家臣が押し込められ、そこで身分を捨てて農民になっても付いて行こう…

「大倉陶園創成ものがたり-初代支配人日野厚のこと」砂川幸雄

まず森村市左衛門(6代目)という方が幕末の日本におられまして、この方が福沢諭吉さんの勧めで弟さんを「行ってこーい!」とアメリカのNYに放り出して、彼が見よう見まねで小売店舗を作り、そこからひたすら「これ送れ」という要求が来るのでその要求に…

「「明治」という国家(下」司馬遼太郎

下巻で特に面白かったのが日本の戦国時代から近世(江戸時代ね)の世、近代初期くらいまでのキリスト教との関係性なんですが、日本に来たのがイエスズ会で、なんかあれ、確かに清廉なんだけど確かにちょっと変だよね、というところから。しかし近代になって…

「「明治」という国家(上」司馬遼太郎

ところで沖縄を支配することを許された薩摩(だがしかし、統治というほどでもないお粗末なレベルだったらしい)(これひょっとして小島に西郷隆盛さんが流されて、おかげでだいぶ行政が改善しました! て話と関係ある話ですか、ちなみに西郷さんは檻の中です…

「秩禄処分-明治維新と武士のリストラ」落合弘樹

秩禄処分―明治維新と武士のリストラ (中公新書) 作者: 落合弘樹 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 1999/12 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る もともと金融史や鉄道などでも名前が出てくる秩禄公債と金禄公債というもののことが知りたくて手…

「薩摩藩英国留学生」犬塚孝明

最近少し話を聞くことも増えた長州ファイブとか、日本の展示が始めて行われたパリ万国博覧会などとちょうど時代が同じ。薩摩藩から送られた、えーと、17人の少年青年たちの本なんですが(第2弾第3弾の人たちも人数が少ないながら出てきたんですが、もう…

「明治前期政治史の研究-明治軍隊の成立と明治国家の完成」梅渓昇

面白かったのが長州にあったという奇兵隊、極端に防衛線が伸び続ける中で軍事力を増やすために農民の参加を認めたそうなんですが(ただしいい意味でも悪い意味でも士族と同様に処遇したらしいです、農兵だと普通は強制参加だから多少なりと手加減するものな…

「<出雲>という思想」原武史

<出雲>という思想 (講談社学術文庫) 作者: 原武史 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2001/10/10 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 15回 この商品を含むブログ (26件) を見る 当然古代史の本だと認識して手に取ったところ、いわゆる近代に展開していた祭神…

「星亨-藩閥政治を揺がした男」鈴木武史

この本の中でも出てきた東京市街鉄道(都電のルーツの一つの私鉄です)や、彼の子飼いだったという小田急電鉄の創設者である利光鶴松の存在などからふと興味を引かれて手に取ってみたんですが、う、うーん、もともと鉄道史から財界に、そこから思想史と金融…

「プロジェクト鹿鳴館! -社交ダンスが日本を救う」鹿島茂

プロジェクト鹿鳴館! ――社交ダンスが日本を救う (角川oneテーマ21) 作者: 鹿島茂 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング 発売日: 2009/05/09 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 2回 この商品を含むブログ (2件) を見る 鹿鳴館そのものの名前は聞い…

「明治裏面史(上」伊藤痴遊

渋沢栄一のいとこが近所に住んでいた縁で師事し、その縁で自由民権運動に参加、自由党に所属していたよー、というご身分のジャーナリストの方のようですが。正直キリスト教に関してべらべら語っていたりとわりとどうでも良いことでしか感情を露にせず(本筋…

「明治の憲法」岩波ブックレット 日本近代史3、江村栄一

明治の憲法 (岩波ブックレット―シリーズ「日本近代史」) 作者: 江村栄一 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1992/06/19 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る まあとりあえず、明治政府が特に憲法も議会も作りたくなかった、というのは地味に知られ…

「鹿鳴館」岩波ブックレット 日本近代史2、飛鳥井雅道

鹿鳴館 (岩波ブックレット―シリーズ「日本近代史」) 作者: 飛鳥井雅道 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1992/07/20 メディア: 単行本 購入: 3人 クリック: 6回 この商品を含むブログ (1件) を見る そういえばこの前に読んでいた中では鹿鳴館はそれそのも…

「安田善次郎-果報は練って待て」由井常彦

私立銀行では特別な存在である三井銀行に続いた安田銀行に関わったのが吉田善次郎。国立銀行では1、2、4、5の特殊な銀行に続いての法律改正後(資本などの条件が厳しすぎて銀行設立に至らなかった)の復活のち最初の第三国立銀行と安田銀行を同時に作っ…

「霧笛の長崎居留地-ウォーカー兄弟と海運日本の黎明」ブライアン・バークガフニ

霧笛の長崎居留地―ウォーカー兄弟と海運日本の黎明 (長崎新聞新書) 作者: ブライアンバークガフニ,Brian Burke‐Gaffney,山内素子 出版社/メーカー: 長崎新聞社 発売日: 2006/04 メディア: 新書 クリック: 1回 この商品を含むブログ (1件) を見る サブタイト…

「47都道府県の「幕末・維新」」八幡和郎・監修

47都道府県の「幕末・維新」 (だいわ文庫) 作者: 八幡和郎,造事務所 出版社/メーカー: 大和書房 発売日: 2013/11/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る そもそもかつて藩は300余りも存在し、それを幕末から明治…いつくらいまでやってたっけ地域…

「工部省の研究-明治初年の技術官僚と殖産興業政策」柏原宏紀

工部省というのは明治3年にイギリス人のエドモンド・モレル氏の建策にて作られた、なんていうのかなぁ、本の中では技術官僚と呼ばれていた人たちを一つのところに集めていくつかの建設関係の仕事を請け負っていたところ、ということになるのかな。初期の頃…

「明治維新とイギリス商人-トマス・グラバーの生涯」杉山伸也

明治維新とイギリス商人―トマス・グラバーの生涯 (岩波新書) 作者: 杉山伸也 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1993/07/20 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 1回 この商品を含むブログ (5件) を見る 正直そう特別な「歴史的人物」ではないものの、今ま…

「地租改正-近代日本への土地改革」佐々木寛司

正直この手の本がそこまで苦手なわけでもないつもりだったんですが、ひたすら制度の観点から述べられていて現実の状況がフィードバックして来ないのでなかなか頭に入らず、まあ、日本の3大土地改革が大化の改新、太閤検地、んでこの明治6年から前後して行…

「図説・明治の地図で見る鹿鳴館時代の東京」歴史群像シリーズ、原田勝正

鹿鳴館時代というのがそもそもいつくらいかというと明治16年に作られて明治23年に閉鎖…って短かっ?! でも、どっちかというと鹿鳴館ってよっぽどでもない限り日本人は聞いたことあるだろうしなぁ、そうなると、えーと、そうだ、まだ丸の内の土地は開拓…

「大久保利通」維新前夜の群像5、毛利敏彦

んー、私が知りたいのは(もともと鉄道初期の事情を知りたくて明治時代を読み始めた関係で)明治政府の初期の財政事情みたいな面なんですが、どっちかというとこの本で一番わかりすかったのは薩摩藩がどうして明治維新で中心的な役割りを果たすことになって…

『明治軍事史(上-明治天皇御伝記史料』明治百年史叢書、陸軍省・編

明治天皇と、主に陸軍に関しての記録をわりとジャンル問わずに年代順に並べた本で、特に手が入ってる様子がないのでいわゆる生資料という類じゃないかと思うんですが、まあ正直に言えば今の私が読むようなものではなかったんですが、逆に特に難しい内容があ…

「福沢諭吉-明治知識人の理想と現実」高橋昌郎

福沢諭吉氏ってのは大雑把に幕末の世の中で「洋学派」というところに分類されるようなんですが(たまに見るけど多分一番わかりやすいのがこれなんだろうね)、中村正直って人を持ち出したのは「儒学派」との対比って意味だったんでしょうね、対比そのものは…