「最新中東事情」丸山徹

“特派員の見た五〇〇日”がサブタイで、もともと現地記者をしていた時期の前後で書いていた雑誌などの記事をまとめたものらしいんですが、文章が、というのではなくて内容心情的にすごく読みやすい本でした。中立を謳った本でもないんですけどね。
国は6国、キプロス、レバノン、シリア、イラク、ヨルダン、イスラエル。


キプロスは中東の中心的存在であったレバノンの荒廃を受けて出来た天国。
レバノンはシリアの支配を受け、移り変わる情勢に翻弄され続けるも、そのことを世界に意識されることはほとんどなく。シリアはアラブの覇者たる意思が強く、シリアを「元は同じ国」と言って憚らず(事実、仏英の分割だそうです、んで欧州は強く言いにくい)。
イラクの独裁国家振り、、、というところでこれが1994年の本だということをやっと思い出すのですが、湾岸戦争を経て衰えは見せているもののサダム・フセイン氏は健在の時代で。バース党という、アラブを支配から開放することを目的とした政治組織を使った独裁支配のことが書かれているのですが、ちょっとこの辺は難しかったかも。
とはいえ、国内のクルド人問題もなにもかも、今見てすごく進展した気はせず。
なんとか頑張っているのがヨルダンのフセイン国王(ご健在でなにより、いや本が古めだから;)、わりとこう、外交方針の汚点として描かれている内容も多いのですが、一貫して感じるのが「アンタがいなくなったら中東危ねぇ!」というエールです。
で、実際、国王が自分の身を守るために変節することも多々ありますが、ええまあ、私もそのほうが世界のためによろしいかと思います。外から来た王様ですが、頑張ってます。
イスラエルに関してはどちらかというとアラファトさん、というよりもパレスチナ寄り。ここに関しては省きますが、やっぱ、わかんないでもないけど酷いことやってるよなぁ。