「ビック4」エルキュール・ポアロ4、アガサ・クリスティ

ビッグ4 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ビッグ4 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)


アガサ・クリスティのあまり上手くはない国際謀略作品…というか、女に諜報物が書けないとは言わないんですけども、男の作家は少なくとも上手いか好きか身の程知らずのどれか三系統しかないと思うんですよ。賢くて(向かないとわかってて)下手で好きでもない諜報モノを書くのは女だけだという気はします。
あれか、やっぱり肩肘張らなきゃならん時期があるということなんでしょうか。
ぶっちゃけこの話そのものが陰謀論だよねこれ、陰謀論だよね?!
えっとー、“ビックフォー”というのは悪の秘密結社です。
それだとヒーロー特撮みたいな表現なんですが、実際大差はないです。


さすがに解説で貶すわけにいかなかったのか、褒めてるんですけども、あれ、主な内容がクリスティの人生と「彼女がいたのはこういう時代でね」みたいな作者に変わっての言い訳というか。
あと、確かにわりと面白かったラストのチェスの短篇。
しかしチェス・プロブレム(チェス版の詰将棋みたいなの)っつーものとチェスの実戦が混ざってるよー、という指摘でした。そうか、言葉しか知らなかったんだ、クリスティさん。解説してた貴方が編集者だったら良かったのにと正直思ったよ!


基本的には緊迫感を出すためかそれこそ詰将棋みたいに、ぱたぱたと事態が起こり、それに振り回されるポアロさん、という形式。けどポアロさんてよく説明してくれないとなんだか占いめいて聞こえる上、スパイも言葉しか知らないのかな、みたいな...orzあう
単に次から次へと姿を変える男を追う小説だったらどんなにか、とも思います。
“黒幕”が姿を現してからは知識齟齬があっても十分面白いんだよなー。