「国連改革−「幻想」と「否定論」を超えて」吉田康彦

読むたびにテイストが全く違う国連の本、5冊目。
2003年の出版ですが、わりと常任理事国入りに関しては興味が薄いらしく、むしろ日本の世論が極端だよなぁ、と遠くから眺めているような風情です。事務総長の言い分に反することを絶対視し、それに逆らう人間を罵倒するような国内情景で最高潮なわけですが。
まあ、幼いのかな、と思えなくもないです、能力が低いわけじゃないのかも。
(というか、いくらなんでも幼い上に能力低かったら発展無理かなと、さすがに。)


この本でほとんど初めて聞きましたのが国連の関係機関でしょうか、IMFやら世界銀行はともかく、ユネスコが国連の下位機関(という位置づけです、実情がどうかはまた置いといて)というのは正直今まで意識したことがなかったです。
あと、聞いたことがなく、実質的に有名無実となっています組織もぽちぽちと。
G8なんて必要あるめぇ? みたいなことも意見としてありました(でもこれ、軍事観点じゃなくて経済観点で行われ始めたそうですよ、なら、軍事まで範囲を広げるのが変だよね、ということなのかもね)。どちらかというと、国連安保理自体が世界の実情と合わなくなってきているのかも。
(負担金もアメリカを抜くと日本やドイツのほうが比率が高く、米は安保理離れ。)
PKOに関しては常任理事国になっても軍事の必要はないよ、という意見はありましたが、どちらかというとそちらは得意ではないのかも。個人意見の他はほとんど触れられず。
やっぱりこう、極端から極端に走る日本の国内意見が一番印象的だったかと...orz
立場的には複数の国連機関に関わり、客観性が高く、改革への志向も強い方の本。
大国の意向もあれど、そうでない組織内部の欠点もずけずけと触れておられます。