「日本銀行−知られざる“円の司祭”」古川顕

著書さんご当人が書いておられる通り、正直日本銀行の歴史についてはほとんど触れられてなかったかなー、というのが正直なところですが。もともと貨幣の安定のために日本銀行って出来たんだよ! ということでひたすら調整の話。
新書の特徴でもあるのですがちょっと当時の事情に特化しすぎているかな、と思える部分もないでもなかったのですが、考えてみれば昭和62年(古いなぁ)までのデータが主、えー、西暦だとその二年後1989年に発行されている、となると(経済データは前年までの内容じゃないと比較になりにくいのかもね)、よく考えたらバブル経済前。
その時点ではまだ高度経済成長と二度のオイル・ショックが主要な経済要因、経済の自由化に取り掛かりつつあるのだ、というそれもそれでかなり貴重な時期。
これで完結するのならばともかく、この前に歴史の本を読んで、このあとで現在くらいまでの本を、と予定するのにはかなりいい感じのチョイスだったかなぁ、と思えなくもない。


そして日銀さん強いです、電話一本で経済を動かせるとも言われ。
しかしだからこそ逆に、銀行側にもインターバンク市場(どっちかというと閉じていて、日銀の影響力大)に対抗して形成されつつあるオープン市場での資金調達を好み、日銀の口出しを好まないような傾向も出てきつつあり。
そうなると調整役としての役割を果たせなくなるからと、オープン市場に間接的に関与出来るような仕組みを作ろうとしていましたり、株式を銀行で扱えるようにするか否かの議論をしたり、一ヶ月以内の短期貸付の開発とか、まあいろいろありますわけですが。
しかしその制度改革を日銀が主導してる! ということもなく、ひっそりと行って余所には口を出さない寡黙さん(寡黙が伝統)なんだそうですよ。日銀の本だよねぇ、これ?