「日本銀行−何が問われているのか」川北隆雄

まずとりあえずすみません、岩波で1995年に「日本銀行」本出てました、んでやっぱり、前の物はいい本なんだけどさすがに古すぎるよね、と。とりあえず、歴史的な部分はあの本にしか載ってないので絶版状態はどうにかして欲しいものですが。
この本は主に内部の人事を始めとするシステム、大蔵省(当時)との関係。
基本的に大蔵省が優越する日銀法があるのは戦時、独裁者の銀行となっていたドイツのライヒスバンクの銀行法が基盤となっているからというのがまず事実(そして実際に何度か、日銀の意思が政府の方針に左右されたことがあるのも事実)。
ただ、実際には事実上独立性は確保されている、と考えられているようです。
んー、まあ緊急時以外は大丈夫だと思うけど、緊急時のための法律なんじゃないかな、、、大蔵省が配慮してくれなきゃ影響が及ぼせる制度は残ってる、という理解で妥当かと。
(その後、日銀の反発を防げるというほど絶対的な優位ではないです、一時的。)


個人的に嬉しかったのがアメリカのFRB、イギリスのイングランド銀行、ドイツのブンデスバンクなどにも触れていた部分、どうもイングランド銀行がEU銀行を作る上で中立性を高めようとし(サッチャーさんの時に骨抜きにされたそうな、イギリスは自然法の国なので慣習が一度出来てしまうと難しいらしい)、各国の中央銀行の調査に来たらしく。
そもそも日本銀行の「中立性を取り戻そう」という意識のきっかけなんですね。
あー、ドイツも好きだけどイギリスも好きだもんね、制度ってどっちかの影響だし。
で、あとは概ね日銀の中立性が実地で脅かされた例に、市銀への制裁(わかりにくい)、幾つかの判断ミスなどが載ってまして、わりと生の話っぽくて面白かったですね。
しかし中立性はともかく、基礎体力(財力)値はしみじみ高いよね、日銀て。