『世界わが心の旅』#1 フランス 中世の街角で

パラドゥー−Wikipedia
「ヨーロッパ中世は暗黒の時代ではなかった」という発言は、正直私が歴史系に入った頃には生きていた言葉で見たことがないとは言わないんですが、今となるとちょっと感覚がわかりにくい上に当時は中国メインなので文字記録残ってんだろ? という以上の感慨がなんにも沸かなかった千年一昔認識でした、最近は百年一昔とだいぶ改善されましたが。
そして今の認識で素直に物を言わせていただくと。
フランスの最盛期って中世でそのあと衰退したんじゃね? という推測が、とある街が古い時代の痕跡を残す場合ってわりとそれが最盛期であることが多いんですよ。そして暗黒というのはなにも歴史学者の認識のみが“暗黒”だったのではなく、一般人のものでしょう。
発見し、研究されるものであって語り伝えて来なかったってことじゃん。


中世の遺物がまるで層のように重なり、それが現代まで緩やかに連なっているのだ。
というこの時代の歴史学者の言葉を聞きながら考えていたのはそんなことでした、いや、アジア圏ってロマンがねぇな、必要だったはずの要塞はその価値を失い、聖堂も徐々に煌びやかな趣味に移っていったのに改装等省みられるようなこともなく。
村人たちは高い文化意識を保ったまま、淡々と暮らし、遠い異郷の学者はそれらを見てひたすら感嘆しているという構図は、しかし悪いものではないのではないかと思います。
隆盛に合わせ商人の中継地として山間の街が発展し。
それらが国力の低下とともに緩やかに放棄され、文化と建築物と人を残し。
中世の生活を伝える人形や、革製品などの伝統くらいしかその名残を留めていなくても、今のこの地が結果的に美しく平穏であるなら構うこたないか。