「地下鉄の文化史」中川浩一

文化史、というと若干漠然としているような気もするのですが、確かに「歴史」と題するには一直線ではないというか、まずは順当に世界初のロンドンの地下鉄、それから40年も飛んでパリ万博の頃に開業したパリの地下鉄。
あんまり時代順に関係なく、ベルリンの地下鉄。
東西分裂時代に書かれたご本なので、確かに地下鉄路線が気になるのはわかります、実際、「壁」の下でライン超えちゃってた路線もあったみたいですね(駅を封鎖して、通過だけで対応していたのだとか、うへー)。
初期のニューヨークの地下鉄を舞台にした小説の話、ちょっと章が離れていたんですが、空気圧縮で動く列車の仕組みはついにわかりませんでした...orz
しかしこう、勝手に掘って実験ってなんかすごくないかww
あと、東京駅の地下に郵便鉄道のような路線があったのにも関わらず、ほとんど認識されないまま記録すらないとか(郵便事業に記録がなくて鉄道のほうに載ってる! と著者さんが驚いておられたのですが、なんでそんなことに)、そんな零れ話もちらほらと。


上記海外の地下鉄と日本人の関りや、それと時代を沿うようにちまちまと日本の地下鉄のことにも触れられてはいるのですが、そっちの比重は低いかなぁ。
丸ノ内線の開業当時の資金難とか車体の技術とか、聞きたかったのですが。くすん。
当時の営団日比谷線と私鉄東武線との乗り入れ話は面白かったです、地下鉄の利便性をアップしようと誘致の一環のつもりが、東武線沿線そのものが通勤圏になったしまったという大成功、誘致どころじゃなくなったという顛末に(が時代的にそこで終了、えー)。
書かれていたことは面白かったんですが、もうちょっと書いて欲しかったなぁ。