「レバノン−アラブ世界を映す鏡」小山茂樹

中東地域で今まで多少はまとめて読んだのが、イスラエルとレバノンのみなんですが、シリアやクウェート、イラン、イラクのように時にイケイケではない分、近年国内外の方針が「イスラエル怖い」で固まっているようです、、、なにした一体。
レバノンは唯一キリスト教徒が少数派ではない中東の国で、放任主義の市場経済。
「ぶっちゃけなんでかわからんけど上手く行ってるからいいんじゃね?」という経済学者の言葉があるらしく(素敵な学者だな)、都市ベイルートは条件の良さから中継貿易の拠点として発達、しかし他国の妨害によって徐々に利益は目減り。
国内のキリスト教マロン派、イスラム諸派との共存が上手く行ってたんですけどねぇ、イスラエルとの紛争以降、揉めっ放し、、、とはいえ別にイスラエルの“せい”ではないのよね、パレスチナ難民の流入とキリスト教徒よりイスラム教徒のほうが人口増加率が高いこととが関係して国内のマロン派の比率が下がり続け、それに対応した制度に変更されないことによる内紛が起こり続けている、といった調子です。
街でIDカードを提出させ自分と違う派の場合、惨殺される、というような極端な事件はまずこの国でしか起こらないだろうと言われているんですが、長年の共存状態がそう簡単に解消されるわけではなく、感情が先走っているようにも思えないでもない。
で、揉め続けてるとイスラエルが警戒するからってシリアが国連(仲良くないですよ)と組んでやって来るし。多分、もっとも間接的な影響を受けてるのはこの国かなぁと。


しかもまあ、イスラエルが“アラブ・ボイコット”としなかった場合は、イスラエルが中継貿易の拠点(こっちのが地の利が高い)になっていたろう、とも語られてます。
悪もだけど、善も外からやってくる国なんかなぁ。