「ハンニバル戦記(中」ローマ人の物語4、塩野七生

ローマの宿敵(というか、むしろ父ハミルカルさんとハンニバルさんのせいでそうなったというか)であるカルタゴの地を飛び出て、現代のスペインの地で結構上手くやっていたハンニバルさんは(叔父さんは殺されちゃってますが)、なんでまたそんなローマに対して敵対意思を持っていたんでしょうね?
正直、カルタゴ本国も「本格的にぶつかって得になるわけでなし」という態度で、援軍は送ってくれるものの、とりあえず運営の良好なスペイン(ノヴァ・カルタゴ?)の地を優先、海軍も送るもののローマに水際で叩かれ、孤軍奮闘のハンニバル軍への全面的支援をするほどでもなかった、というのですがある意味で当然だよな、なんも言わずに先代が勝手に出てって、次の代が本国になんも申し合わせないで戦ってるんだもんな。
勝ってるからまだしもですが、巻き込まれたら堪ったもんじゃないよな。


戦えば敵なし、どんな状況も引っ繰り返してしまう戦の“超天才”のハンニバルさんですが、きちんと足並みを揃えているローマの同盟国はそのくらいでは浮き足立たず(もともとローマと敵対意思があるところはぽちぽちと)、本国の積極的支援もなし。
それでも、あまりの強さに精神的にばらばらになりかけたローマを救ったのがぐずと呼ばれてもめげず、後に「イタリアの盾」と呼ばれた方と、よく考えたら第二次ポエニ戦役が始まった時点でじー様だった「イタリアの剣」(盾がじいちゃんなのはわかるけどw)。
そして、後に彼自身も天才と呼ばれる若きスキピオ・アフリカヌス。
もうはっきり言って、この巻はほぼ丸ごと≪ハンニバル戦記≫、基本的にあんまり戦記は好きじゃないんですが、ローマの立て直しはちょっと良かったかなぁ。
天才が歴史を動かすことはあるんでしょうが、ローマが天才に打ち勝った話かなぁ。