「メロヴィング王朝史話(上」J.N.オーギュスタン・ティエリ

まあ、個人的にどうしてもシギベルト王の味方をしたくならないでもないんですが(いくらなんでも「あんな」理由で殺された王妃様可哀想だし)、いい王かというとやっぱりちょっとそうは判断しがたいわけで。
ある意味でどのような理由であろうとも「戦を回避する」(正義なんざ知るか)という態度の長兄が一番マシな気もしないでもないんですが、あれですね、それでもさすがにどっかでキルペルクは切っておくべきだったと思います、殺した相手が規模から財力から桁違いに上の西ゴート王国の王女だしなぁ。
やっぱりピレネー山脈があるから、そうそうは来ないと思いますが、面子の問題となるといつまでも看過はしてくれないというか、少なくとも好意は期待しにくいっつーか。


メロウィング王朝、というのは現“フランス”の地にローマ末期に出来たゲルマン系民族フランク族の作った王朝で王位は東ローマ皇帝より拝領、蛮族蛮族言われてますが(差別の用語でもないし、ぶっちゃけそれに相応しいと思いますが、ええ)、どちらかというとローマ寄りの態度を取るし、初代王クローヴィスもカソリックだった、という国。
この本を読めばわかりますが文明は蛮勇がちゃんぽんに混ざってますね、うん。
『歴史十書』というのはこの時代のこの地域のほとんど唯一の史書として名前は聞いたことがあるんですが、ああ、この時代の人だったんですか、トゥールのグレゴリウスは、ちょっと粘りが足りない気はしましたが、正義で動く分まだしもというか。
さすがにこの時代にはちょっと分が悪いというか。
なんとなくの文化の萌芽めいたものはあるものの、上がどうにもろくでもない、都市単位ではそれなりに着実に歩を進めているのかな、という気はしないでもないのですが。