「ジャガイモのきた道」山本紀夫

すごく正直、もう少しドイツの比重が大きいのかな、と期待して読み始めたりしてすみませんでした、ある意味、ヨーロッパで取り入れたのもアイルランドなどのほうが早いし、そもそも栽培食物そのものの歴史に興味のある著者さんから行くと当然南米ですよね、それもアンデス高地にもなりますよね。
現在世界に出回っているジャガイモは一種類に過ぎず。
毒抜きの改良もこの地を出る前にすでに終わり、あとは味やら形やらのマイナー・チェンジしかされていなかったら、本当に出る幕なんてどこにもありませんよね、そして、“文明を育てるのは穀物しかありえない”というのはそれはそれで説得力のご意見だとは思いますが、毒抜き(自然のジャガイモにはほぼ毒があるそうです)の作業工程で保存の敵となる水分をすっかり抜いてしまい、サイズも数分の一程度になるという“チューニョ”が数年の保存に耐える、とのことなので、あー、これなら可能かな、と思わせる部分も。
(ただしジャガイモは数年作り続けると連作障害が起こるとか、他の種類と混ぜて作らないと害虫にやられるとか、いろいろ大変みたいですね、なんか、南米の特異な中央集権システムとその後に入ってきたスペイン人が「何故か」土地をすっかりと荒らしていた、ということを思い出します、土地や作物によっていろいろ事情って違うんだなぁ。)


また逆に、ジャガイモばかり作りすぎて伝染病にいっせいにやられ、国ごと死にかけたアイルランドのような例も出てきて若干どきどきと。高度が高い土地でも作れることから様々な地に広がり、飢餓の減少に確実に貢献しているらしいのですが、現金収入にはならないとか土地の利用が制限されるなどの問題も。
いやでも、面白かったなー、食物の歴史って素晴らしいですよねぇww