「フランス語はどんな言葉か」田辺保

個人的にはこの前読んだ料理の本と同じく、少しでも“フランス語の歴史”や成り立ち、誕生や起源に触れてないかなぁ、という目的で手に取ったのですが(ならなんで『フランス語の歴史』というまんまの本を手に取らなかったのか、というと、ぶっちゃけてフランス人著者の書いた本が理解できるシロモノなのかどうか、想像が付かなかったからです)。
なんというのか、概ねの感想としては「どこでも生きた言葉って同じようなものだなぁ」というか、親しいんだか親しくないんだかよくわからない隣国・イギリス語(他にアメリカ経由の英語が話に出てくるので正確さを求めずにわかりやすく表記w)の影響を受けたり、グローバリズムの流れを受けてアメリカから物と言葉が入ってきたり。
大学生だけにしか通用しない短縮語なんてのはいかにも日本にもありそうですし。
下町の言葉はまあご想像の通りスラングに溢れるわけですし、南仏に行けば発音そのものがちょっとずつ違うんだよね、昨今の流れを受けて(と言ってもずいぶん昔の方たちにとっての“昨今”ですが)文学者たちが当世の響きのまま言葉を綴ってみたり。


フランス語などと言ってしまうと偏見かもしれない、と思いつつも美意識に煩そうな印象があり、実際「どれだけ正しくて美しくなければ意味がない」とまで言われるというのだからこれまた印象の通りということなのかもしれませんが。
上品なのかといったらなんかそれはちょっと違うような気もしないでもなく。
そもそも、言葉がぐにゃぐにゃと定まらないことがなによりも許せない(この世にはたった一つの真実が存在する)、ということのようなので、そうなるとちょーっと個人的なフランスの印象とは離れるかなぁ、という気も。
かつて正規の外交文書に使われたという言葉は、まあ掛け値なしに気位は高そうです。