「イングランド紀行(上」プリーストリー

とりあえず、日曜日(は安息日ですが、キリスト教のじゃないんだそうですね、あらあら)に娯楽のほとんどが禁止されたどっか捩れた都市の様子に嘆くくらいは誰でもするのではないかと思うのですが、娯楽を強制した法律もなければ、禁酒主義者に一定のアルコールを強要した法律も存在しないよなー、とまで思考がいくのは。
ある意味でこの国の人物らしいな、というイングランド人によるイングランド紀行。
時はどうも第一次世界大戦と第二次世界大戦の狭間で、戦争による爪あとがある、とは言い切れないのに、その痕跡が消えているわけではない、という微妙な状態。
そもそもなんで旅行記がここまで沈うつなトーンなのか、と思っていたら。
この作家さん(だそうですよ)はなんでも自分の参加した隊が二人しか生き残らないような戦場の生き残りで、この上巻の終わりの頃になってやっと判明する過去は、、、いやでも、そうは感じなかったな、折り合って生きておいでなんでしょうか。
やっぱりどっちかというと「イギリス人らしいなぁ」ということかな。


それほど名の知られていない特徴のある街と、名前の知られたどっかしら平坦な街が交互に出てくる、という大雑把な印象があるのですが(複数の工業に関わったり、外に向かって開けるとカドが取れるのかな? と著者さんも言っておいでですね)、過去が閉じ込められたような土地に、黒く濁った煙を吐き出す工場の立ち並ぶ、どこからどこまでが一つの区画かも見分けがつかないような土地。
とある地域の紛うことなき“変人”を(皆で言ってるなw)、確かに変人だ、彼のミニチュアの町並みになんの生産的価値もないと認めながら、彼が生きられないイングランドであってはならないという熱弁を振るう人ですよ、なんか泣けちゃったよ、うん。