「百年戦争−国家財政と軍隊」山瀬善一

百年戦争”というのはイギリスとフランスの戦争で。
まあ、詳細は省きますが、これより昔、フランスの地方豪族がイングランドの地を征服し、王族にフランス王家の血が流れ込んだため、フランス側で王家が断絶した時、今から聞くとちょっと信じられないことに、イングランド王が「一番王位継承に相応しい」血筋となってしまったということに端を発し。
百年の後半にもなると、今度はフランスの大領主であった女性相続人がフランス王から離婚され、そのままイングランド王子と再婚したところ、それが大当たりでイングランドの地にアキテーヌ(ボルドーの含まれる、もともとイングランドと縁の近い土地でした)(ワイン作ってたというより中継貿易してたんですよね)をもたらし。


前半も後半も主にフランス側の防戦な上、正直イングランド史を見るとその戦争は「触れられている」といった比重でした、そもそも国内でも征服戦やってるしなぁ。
で、ちなみにフランスはと言いますと、パリとその周囲の土地にしかそもそも勢力圏が存在せず、イングランド初め外国王家とのつながりのある領主も少なくなく、まあ、要するにそんな中でどうやって戦争をこなしていったか、というような本なんですが。
要するに、前半を読む分には(後半戦だとフランス側が国民として、イングランド王を否定してるし! とかジャンヌ・ダルクを引き合いに出して語っておられます)、王の身代金支払いを口実とした、全国的、恒常的な税制制度をきっかけとして、国内が少しずつ国としてまとまってきた、と認識していいんでしょうか。
(ただし、このシャルル5世の段階ではとても完遂せず、これ以降に少しずつ。)
騎士の生活や武具や馬が、お金の流れを通して語られる、ある意味稀有な本ですかと。