「アーサー王伝説」アンヌ・ベルトゥロ

アーサー王というのはなんでもイングランドの地に、ローマの支配が去った後のだいたい5世紀くらいの時代(へー、そうなんだ)、キリスト教徒? なんですかね、として異民族の侵入に対抗した、という人なんだそうですが。
正直、なんでそんな時代に記録がここまで残ってないのかがよくわからないし。
(ローマって紀元前からがっつり残ってますよね??)
そもそも、実在だかも判然としない、伝説としてはもともとケルトの地に存在していたらしいものの、この伝説を利用して自身の正当性を主張しようとしたチューダー朝のヘンリー7世により(大雑把に簒奪王朝ですね、こう言い切っちゃっても特に怒られないかと)掘り起こされ、それ以降、話そのものもどんどんどんどん膨らむわ、そのうちキリスト教が絡んで聖杯伝説が幅を利かし、そもそもアーサー王配下の“最強の騎士”ももとは影も形もない人物で(要するにフィクション)、じゃあ王妃との不倫だなんだってのも後世の作り話?! みたいに、かなりいらんことで驚かされていたような気もします。


この本自体は大雑把にアーサー王伝説そのものの流れを追うという作りで。
ある意味で、初心者が読むにはこの形式以外にはありえないような気もします、アーサー王題材の小説を手に取ったことがあるんですが(最古の出版社から出されたそうなんですが、なぜ前書きに出張る出版社社長?)、どこがどうキリスト教色の強い、どこが倫理的に正しいのかさっぱりわからない内容でしたので、実に参りましたとも。
結局、いろんな作者がいろんな時代、様々な方法でアプローチしていく人造伝説みたいなものだったんだなー、小説や映画ですら出来さえ良ければその流れとして認めるある意味で懐の広い文化活動だと思いますが、これは“歴史”ではないよな、さすがにw