「されどブラジル−特派員の見た第三世界」飯倉健次

冒頭から“ブラジルの食糧危機”に関する日本のドキュメンタリー番組が語られ。
ものすごく正直申し上げれば、確かに「普段は全く存在しない抗議活動」でも。
後ろ盾にNHKがいて、相手がブラジル政府(日本を無視しにくい)、ともなれば喜んで協力しよう、という現地の農民がいてもその内容自体が普段から実際に考えていたことだよ、というのも特に違和感はない話なんですけどね。
とはいえ、そこからブラジルの社会を読み取ろうとするのには無理があるんじゃね? というの点に関しては筆者さんに賛成。ある意味であれだよなー、中南米に関してあまり報道の類がないのは、やっぱり純粋にわかりにくいってこともあるんでしょうか。


ブラジルに入るとまず驚かされる、というのはその拓けた国際空港。
ただこれは、どうもラテン系の見栄っ張りな国民性が関係してるのかなー、というご意見、リオのカーニバルは一部観光化され、サッカーは本当に盛ん、中南米唯一のポルトガル系移民の本で、別の本でもぽちぽち読んでいるのですが「スペイン系よりはちょっとだけマシだった」という中でどことなく民族はゆっくりと育ち。
人種差別を起こそうにも混血が進みすぎて自分たちの区別自体が存在せず。
どちらかというと経済格差のほうかなぁ、ということは自他共に認めているそうなんですが、南方ラテン系の土地柄のため少々貧乏でも暮らしていけるために切迫感はなく(なので農民の「抗議活動」があまり現実味がないわけですね、そんなことしてる暇はない)、国そのものが抱える天文学的な額の借金も、まあいつか返せるだろ、という楽天的視点。
豊か、とは到底言いがたいんですが、不幸か幸福かなんてことを外からこれ以上見てもよくわからないような気はしないでもない。なんか明るいよね、生活そのものが。