「スコットランド「ケルト」紀行」武部好伸

正直スコットランドというと、ウイスキーの生産地とはいえ、かなり早い時期に英国の地方として存在していたわりには(英国の国名に正式に含まれている北アイルランド、アイルランド紛争のある地ならともかくも)、そこらの小国よりよほど知名度が高いのではないのかなぁ、と思わないでもないんですが。
その印象は、というとウイスキー、スカート、バグパイプ。
そしてお隣アイルランド(北の自治区、南は共和国)ほどではないもののケルト文化圏。
ケルトっつーのはこれがまた、音楽だのキルトだのデザインだので薄ぼんやりとしたイメージしかないような気もしますが、ヨーロッパの古い民族で、好きな人も多い、という印象がありまして(ケルト神話はこの地域ではないんですが)、この本の著者さんもその一人、どうして好きなのか、と聞かれた時に、友人のアイルランド人に「お前の前世はケルト人だ」と言われたからだというのですが、大抵喜ばれるのだとか。


この本で扱われているのはヘブリディーズ諸島。
当地の彼らに聞いてみると、ケルト文化圏の自覚はしっかりあるものの、どうも一番親近感を覚えるのは北欧のノルウェーらしく(そこの人がこの地に来られたのだとか)(正直民族の流入って半分侵略に近い気もするのですが)、サッカーでスコットランドのチームの対戦相手になった時、「イングランドのほうがまだマシだ」とぼやいていたというのはどういう意味かしら。いや、いくつかのニュアンスで。
風のひどく強い辺境のイメージのある地で、おまけに到底住みやすくはなかったろうに、なぜか西の海岸線に彼らの住んだ跡が残り。西に行きたかったのかなぁ、と著者さんは言われるのですが、どんな人たちだったのかなぁ、この地のケルト人は。