「古代アステカ王国−征服された黄金の国」増田義郎

現在の中米メキシコの地に、本土再征服≪レコンキスタ≫を済まし(イスラム教徒との闘争ですね)、その頃欧州の地で流行っていた「冒険譚」をそのままノンフィクションと信じていたスペイン人が降り立った、という時点でなんか嫌な予感がするものですが。
まあ、白人文明の驕り、と表現するのもまたどうなのかな、というか。
正直、文明代表するほどの蓄積もないんじゃないかというか、まあ、さすがに8百年続けていた内戦のためか、少数精鋭でなかなか戦い抜いているというか、現地の神話に「ケツァルコァトルの使い」白い肌の人間がやって来る、というものとの合致を上手いこと利用していたりとか、頑張ってるとは思うんですけどね。
ただまあ、地元の住人に「野蛮人」と蔑まれたり、現地の神殿の規模に目を丸くしたり、あまりに無造作にそこらに溢れてる黄金に驚愕したり、とこれを「文明人の驕り」とか呼んでしまうともはや可哀想ではないかと思います。
(当人たちにその意思があったとはとても思えないですよ...orz)
あと、ここ最近の研究の結果、人身御供の習慣って西洋人の報告にあるのとはどうも実態が違うらしいということが判明しつつあるというか、、、簡単に言うと証拠が出ないというか、そんなことも念頭に置きつつ本を読み進めるといいと思います。
(特に悪気とかではないんじゃないでしょうか、頻度はともかく、習慣は実際にあったようですし、神話の体系もそうですし、そもそもヨーロッパにもその習慣あったしね。)


でも、コルテス、本国の許可も得ずに勝手に暴走したこの御仁も。
それこそ戦いの中でこの地への敬意を深めていくというか、そういうところは良かったんですけどねぇ、こっから後の歴史は続刊「メキシコ革命」に続きます。