「写真と地図で読む! 知られざる軍都多摩・武蔵野」洋泉社編集部


もともとこの手、というか軍事関係に関しては興味ない人はとことん興味がない傾向があるというか、正直なところ「ちょっとした好奇心」で入るのはあまりよろしくないようなジャンルという風情があるのではないかと思われるのですが(その心情が特定のなにかに属してる必要まではないものの、どういう方向にしろ多少の重みは必要というかね)。
ある意味でこの本は現代に存在する施設そのものから離れない傾向があるというか、なに語ってもどこかからのお行儀の良い引用というか、思想の入り込む隙がなかったのでずいぶん平等な本になっていたのではないかなぁ、という気もしますね。
まあ、その分これ単体で興味をそそるような構成にもなっていないので、もともとこちらに興味がある方が自分の廻りたいところ周囲を再チェックするためとか、この地域に住んでいる人間が読むとかそういうことになるんじゃないでしょうか、どうしても。
(私みたいにその近隣図書館の棚で見つけて、なんとなく抜き出して借りるというのが一番多いパターンなんじゃないでしょうか、特に軍事系の人を引っ掛ける単語もタイトルに含んでいるというわけでもないしね、本屋に並んでた時もそんなだったろうな。)


この地域の特徴的なことを述べると中央線や京王線、西武各線や小田急線などの鉄道網が戦前の段階ですでにほとんど完成していたことが挙げられるのではないかと思われるのですが、逆にその分とっとと宅地化されていたりもするので、果たして軍事施設として有効かどうかというと微妙なところはあるよね。
ただ軍事工場の名残りではないかと思われるものはそれなりに現代にも心当たりが。
陸軍の中でも航空部隊って言うの?(日本には空軍はなかったそうで) その辺の基地がかなり都心から離れた西側に、というのもそのせいでしょうか。
空襲の激しさなども淡々と述べられていましたが、残る施設にも悲壮感は薄いのかな。