「悪名高き皇帝たち(1」ローマ人の物語17、塩野七生

カエサルの章”の些か行き過ぎたカエサル贔屓は受け入れられるかどうかで大きく印象が変わってくるのではないかなぁ、と思うのですが、この巻に見られる二代皇帝(と呼ばれることすら嫌がりそうだw)ティベリウスへの擁護はよくわかりましたとも。
うん、日本人の大抵はなんとなく共感できるんじゃないでしょうか。
だって最高権力を望む「べき」立場になった時に申し出たのが「隠居したい」って!
いくらなんでも謙遜しすぎだ、というレベル超えていると思います、元老院に、せめて権力を分散しよう、と食い下がってるのもこれ本気ですよ、タキちゃん酷いよー(タキトゥス、いや、頼りになりますがそれにしても引用多い、塩野さん)。
まあ、この人の敗因は放っておいても元老院をないがしろにしないだろう、と思われた部分ではないかなというか、先代アウグストゥスなんてどう考えても油断してるとなにされるかわからなかったですしね、お互い助け合えば良かったのに、とつくづく思うんですが、そうもならんかったのでしょうか(和解したのも遅かったしなぁ)。


そしてまあ、次代と予定されていたゲルマニクスへと素直に継ぐ気持ちはあったと思いますが、正直、この人が殺されてしまった時は実際「ほっ」としたんじゃないのかなぁ、トラブル起こしそうなタイプだったしなぁ。暗殺したとは思いませんが(性格的に)。
ただ、彼の死後まで息子を重用しなかったのはむしろ、ゲルマニクスの即位と同時に補佐に付けるつもりであって逆ではないのではないかしら。息子とはいえ、あれだけ能力あったのに温存してたほうが不自然でしたしね。
ところがこの息子まで亡くなってしまい、なんかもう、なにもかも嫌になったのか数年掛けて準備して、完全引き篭もりになってしまうまでの巻です。準備はすんのね、うん。