『美の巨人たち』小林古径「清姫・日高川」(日本)

小林古径−Wikipedia
(1883.02/11−1957.04/03)


安珍清姫”っちゅー話はまあ、聞く人によって全然感想が違ってきたりするんですが、案外と男の人のほうが純粋な愛として清姫の肩を持ち、わりと私が話を聞くような女性は(正直普通とちょっと違うタイプだという可能性はあると思うの)、坊主のほうを同情するような流れだったりしますが、どっちかというと最後に大蛇になった部分で「ああ、断ったの正しかった、危ないわ」というシビアな判断をしている可能性もあります、女だしね。


というか、それと美術作品自体は全く関係ないんですが、やっぱり男の作者さんだしなー、清姫贔屓かぁ、と思ったのは否めません。坊主に一目惚れをして、坊主に「あとで寄ります」という約束をされたもののすっぽかされ、嵐の川に飛び出して大蛇になって男に迫り、鐘の中に逃げ込んだところをとぐろを巻いて燃やして殺す。
という、安珍さんの意思がどこにあるんだかさっぱりわからない話なんですが。
しかしそこまで潔く相手方の感情をすっぱりと無視できるのが純情、、、すみません、本気でただの嫌味だな、これ。男と女以外の何一つなく、あくまで相手の意思しかないんですよね、この話。んで、私なんかには到底その愛を認めることが出来ない。
けれどやっぱりそれでもなお、愛は美しいという絵なんでしょうか。
中国の、ひたすら同じ太さで線を描くという非常に大変で緻密な描き方、空間を広く取る構図で、ラストの絵はハッピーエンドを思わせる桜の木。どんなにおぞましいものに恐ろしいものに成り果ててもそれでもどうしても愛することは美しいってことなのかなぁ?