「悪名高き皇帝たち(4」ローマ人の物語20、塩野七生

正直私も、“暴君”ネロのことだけは前知識があったので、ローマのお膝元で起こった大火災の対処や、いくつかの防衛(まあ、対パルティアのアルメニア王対策は間違っていたんでしょうが、ミスも致命的ではないし、並みというところかと)で見せていた能力がいつ崩壊に向かうのか、と大変はらはらしながら見守っていたんですが。
なんというのかこう、結局当人は大きく道を踏み外すこともなく、先に「国家の敵」として憎まれて死に追いやられてしまったというか、、、当時の標準としても母殺し、自分より高貴な血筋で人気も高かった妻への一方的な離縁と殺害、大火の責任を当時生まれたばかりの“キリスト教者ら”に被せたこと。
その火災の跡地に自分の自宅、という名目で自然公園を作ったこと。
(ローマ人は街と郊外ははっきり別ける趣味だったらしいです。)
(市民参加型で自分の名前を冠した建築物を作るのは帝政よりも古い伝統だしなー、自宅って名前にしてたとはいえ、一般開放するとは名言されていたようですし。)
そして、これは確かにマズい陰謀に加担したという証拠のない三将軍の殺害。


火事が彼の責任ではない(よねぇ、これ、自然発火かと;)とするとあとはありがちいうか、熱が冷めてみると、果物で満ちていた彼の墓というのは「ごめんね」というローマ市民の心の現われだったような気もします、ぶっちゃけ、外聞は悪くても政治的な実害は少ないというか、この時代じゃしゃあないだろうというか。
まあ、キリスト教徒の恨みは無理はないんですけども、それが一般的な評価、それすら通り越して暴君として一、二の知名度ってのはなんか違うよなぁ。うーん。
≪悪名高き≫皇帝たちの章、面白かったです、確かに違うなと私は思いましたがw