「危機と克服(上」ローマ人の物語21、塩野七生

とりあえず、約20分ほどで一人ずつ終わってしまった感の強いガルバ、オトーを経て(ちなみにオトーはガルバの責任を着せられたという...orz早)。良いことも悪いことすらしなかったヴィテリウスは一先ず置いておいて、次のヴェスパシアヌスが準備を始めましたよ、そして勝ちました、というところまでの巻だったのですが。
あー、こりゃローマ市民も「ネロ、ごめんね」の気持ちにもなりますわな。
(彼の死によってこんな状況になってしまったんじゃねぇ;)
つーか“悪政”の暇すらなく主に諸軍団の私情によって皇帝位がボールのように転がっていた丸一年、ともなるとペシミズムのタキちゃん(タキトゥス、馴れ馴れしい)の態度にも共感も出来ますわ。正直「失策」がなくても単に別の派閥ってだけで遅かれ早かれ殺されていたような気もしないでもないっつーか、単に権力争いになってるというか。


ヴェスパシアヌスよりも先に元老院から「次の皇帝に」と意向を伝えられた、というムキアヌスはヴェスパシアヌスにその地位を譲り、彼のナンバー2の位置に納まったんですが、塩野さんの言によるとローマの古い家柄よりも実力、もしくは属州出身であるということを重視したのではないか、とのことだったんですが。
ちったあ名の知れたユダヤ人のヨセフスに「皇帝になるよー」と予言されていた同僚のことをとっさに思い出したってほうが話としてすっきりしてませんかね、ぶっちゃけ。
塩野さんは多分、ぎりぎりまで合理主義を貫こうとされているんでしょうが、この“予言”がなんせオクタビアヌスの血筋のネロ帝が生きていた、とどのつまり血統主義がきっちり生きていた時代にされたものってなると現代人でもぐらっと来るかなとw
ある種、ムキアヌスの家柄・人柄、ヴェスパシアヌスの実力っていいタッグだよなぁ。