「メキシコ革命−近代化のたたかい」増田義郎

「古代アステカ王国」の続刊にして、その直後から書き始められた本で。
要するにスペイン人の中米・メキシコの地アステカ文明への侵略、その後のスペイン支配、正直に言えば私はコルテスがこの地を治めた場合、もう少し事態はマシだったのではないかと思えてならないのですが、いわゆる領主の台頭を恐れたスペイン王は常に“現地の事情をことさら無視する”本国人をこの地に送り、無理な運営をさせ続け。
持ち込まれた疫病で現地住人が壊滅寸前に激減するような年度を経て。
土地の諸労働のためにアフリカ黒人を買い入れ、結局、恐れたはずの大地主がこの地を独立のあとも延々延々と蝕み続け、現在(現代ではなく、メキシコ革命がそもそも現代です)ですらその後遺症に悩み続けないとならないという体たらく。
ある意味で、コルテス氏もそうだけど、途中でこの地に「輸入」された王がこの地に根付くのだとしたら、それもありだったんじゃないかと思うんですよね、とにかく、メキシコを利用することしか考えていない人間があまりにも多かったし、それと比べてしまうと最初は当然のように強制労働だったのに、労働が過酷すぎてその数が維持できず、ほぼ自由労働民に近い条件だった鉱山(農家から逃れた人々がここに匿われた)のほうが比較的に真っ当だったってなんかもう突っ込みようがない。


この地の革命に血が流れることになった、独裁的な人物が出ることになった、というのはなんとなく他の地よりも納得がいくというか、そもそも最初のスタート時点で「間違え」てしまうと長く長く引きずることになるんだなぁ、としみじみ。
現在はもう人種すら交じり合い、すでにスペイン側が悪とすら言い切れず。
少し古い本ですが、この本の扱う時代を考えると古びることはないと思います。