「さまざまのアフリカ−灼熱の大陸」石郷岡建

“さまざまの”とは銘打ってありますが、本書のほとんどは著者さんが暮らしていたジンバブエに関してで(1989年発行)(1999年の『グレートジンバブエ』ではハイパーインフレに見舞われていた、と読んでいるのですが、今どうなっているのか、正直アフリカに関しては調べ方がわかりません...orz)、ちょうど、伝統的な生活と欧米的な制度との狭間での調整が行われている過渡期だ、というように読めたんですが。
正直、女性の地位向上は大事でも、事実として親族ぐるみで生活しているのが一般的である以上(お互いにイベント時に金銭の融通をし合う)、財産分与を先進国のような直系の子孫のみに限定する、というのは確かにちょっと疑問があるでしょうし。
(この「相続者」が娘さんだったのでなおさら意見が割れたんですが、男の場合と違い、結婚によって財産が家の外に出てしまうことが問題視されたわけですね)(この場合、まず先に結婚と財産の問題のほうを考えなきゃ、という順序で正しいと思います。)
伝統の側ではありますが、花婿が花嫁の家庭に支払う「結納」のような制度は、ちょっと当時の現実からすると弊害のほうが大きそうだなぁとか。
現実問題として財産が相続されることがほとんどなく、職もなく、収入もない、一人でも職を得た場合、親類ごとその世話になる、というのが当然という状態では、晩婚もしくは「駆け落ち」の選択にならざるを得ないんでしょうね。


後半はちょっとトーンが違い、駆け足のように幾つかの小国と南アフリカ共和国を巡ってその国に関する雑感のようなものをまとめていたんですが、まあ、読めばおわかりになるかと思うんですが、一般的な日本人としてはちょっとショッキングな内容ですね、ええ。
(アパルトヘイト撤廃前の本だったんだよなぁ、そういえば。)