「フリードリヒ大王−啓蒙専制君主とドイツ」村岡晢

理論的に考えても“強権的な父親”というのはだいたい教育、っつーか育児に失敗するのではないかと思うのですが。なんつーか、能力の伴わない態度だけでかい(父ちゃんにはちゃんと態度のでかさを裏打ちする能力があるわけですね)小暴君を作り出すか、この本のフリードリヒさんみたくに反発するか。
まともに育つのは正直生来の能力によほど恵まれていた場合だけではないか、と思うのですが、その場合は教育の成功でもなんでもないわけじゃないですか。
ところがこう、最終的に当人はどうもハト派(平和主義)であったらしいにも関わらず、一度決めた戦いは貫く、そして自分を誇示するためではないらしい、という王となり、結果歴史に名を残し、大王とまで冠されるようになった、となるとある意味で奇跡的な成功例と言えなくもないのかしら。


大雑把に欧州の中央部に“ドイツ民族”という漠然とした共通意識があり、けれど長く国は別れ、千々に乱れ争いあっているようなそんな歴史の中の一つの時代。
ハプスブルク王家を抱えたオーストリアと、もとを辿ると巡礼者の安全を図るための存在でしかなかった≪ドイツ騎士団≫であったという軍事国家プロイセンがそれぞれ全く別の手段、別の文脈の中から台頭し。
イケイケゴーゴーの父ちゃん(軍隊大好き、しかし徹底不戦)からプロイセン王国を受け取ったフリードリヒ大王が考えていたことは「もうちょっと国力を付けて国を潰されないようにしよう」だったそうですが、結局死ぬまでに国は最大版図への足掛かりを付け。
内政の重視からいくつかの伝説と(庶民に立ち混じってはいなかったようですよ?)、他国にも崇拝者が存在し、プロイセンはヨーロッパ有数の大国へ成長、うん、あれ?