「シャルルマーニュの時代」J.ブウサール

正直まあ、日本ではわりとよく見られる光景なんですが、ヨーロッパの歴史を遡るに当たってまずローマ帝国を押さえ、続いてフランス/イタリア/現在のドイツの地に相当する“神聖ローマ帝国”の出現したフランク王国カロリング朝の「解体」をすっ飛ばし、まあなんとなく今の国の原型くらいは存在するかなー、という時代から始めますもので。
ヨーロッパってなんのことかわからないよね、というのも無理はないよな、というか、もうちょっと遡ってフランク王国メロヴィング朝から始めると、現在のフランスくらいしか存在しないものの(もうちょっと広いです)、なにしろ一国しかないので理解しやすいんじゃないかなぁ、というのは余計なお世話なんでしょうか。


とはいえ、もちろん他に諸民族、独立小国家は多く存在し。
大雑把にカロリング朝は生まれた頃からこれらの存在を平定し、シャルルマーニュ時代に完成に至ったんだよー、というのがまあわかりやすい理解なんじゃないでしょうか。
んで、カロリングルネサンスとわりと最近呼ばれるようになった「文化の種付け」を行って、それぞれの国に王の血統と行政機関の萌芽を与え、言葉すらその地の慣習に従う、というような解体に至ったんだよん、となるとかなり真面目にヨーロッパのお父さん。
(まだ異民族の王家もあったけど、キリスト教化したらまあまあ仲間かなぁ、と、後の時代の偏狭の象徴みたいになってますが、違う民族でも違う言語でも宗教さえ同じであれば、と認められたというのは当時としては非常に有益だったと思います。)
別にそんなこたぁ考えてはなかったとは思いますし、滅びた「西ローマ皇帝位」への戴冠も当人の意図とは思えない、ということで意見が一致する謙虚な人でもありますが。
押さえておくとこれ以前もわりとわかりやすいので、つくづくありがたいなぁと。