「断崖の骨」アーロン・エルキンズ

この話に正直、パウンドベリー人(愛称・パミー)が関わっていることは、ほとんど旧友の登場と相前後して察することが出来ると思うんですが(これ自体は謎の本質ではないというか、パミーの記述が濃すぎると思うんだよね、無関係だとすると)(いやまあ、関係があっても明らかにパミーの記述は濃いですが)。
基本的に英国で出土する短頭の人骨の中で、唯一長頭、という、考古学者にとっては大層好奇心をそそる「貴重な」出土品ではあるものの、要するに素人が聞いてもなにがなんだかさっぱりというか、自分で独り占めするより、優れた研究者でもある資料館の館長に頼めば誰でも普通に見せて貰えるというようなシロモノが突如紛失し。


かたや、スケルトン教授の旧友の監督する遺跡で「なにかすごい発見があった!」と旧友が興奮してそれを抱え込んで隠していたら、概ねなにが起こったんだな、ということは見当が付くんじゃないかとは思うんですが。
その動機がわかるかというとこれがさっぱりわからず。
しかも、そこに殺人まで加わった、となるともっと意味がわからない。
確かに旧友はちょっと嫌な人物ではあったかもしれないけれど、いくらなんでも殺人をしてまで貶めようとされるほどでもないというか、そこに隠されている価値があるかもしれないものはなんだ、ということを謎とする事件だったのかなぁ、という気はするんですが。
とりあえず、個人的に気になっていたのは「パミーは無事?!」でした。
いやうん、登場人物がどうも私欲で脂ぎってて感情移入しにくいというか、そういう現場が描かれていたんですが(事件関係者以外は別で)、それにしても殺人の最中、人骨気にするってのもないと思うんですが、しかし、どうも多数派な気がします今回。