「対独協力の歴史」ジャン・ドフラーヌ

正直申し上げて“欧州共同体”というものが、フランス−ドイツの協力関係からまず誕生したとのことなので(相互の軍事監視システム)、その本を期待していたのですが。
時代背景はww2、ドイツ軍の占領に対し積極消極にか関わらず、フランス国内で彼らに協力したという勢力の本だったのですか(大まかに言うと≪ヴィシー政権≫側)。


なんというかまあ、むしろナチス政権は≪自由フランス≫のド・ゴール将軍を評価していたんだよ(純粋に戦略的に)、ということは聞いたことがあったんですが。
全く「まとも」に扱って貰えないというか、単なる占領国というか、反撃すら早々に取りやめて、ほとんど自主的に(戦略そのものがww1のままだった、という致命的な状況ではありましたが)、“降伏”をしていたんですが。
そのことに対する配慮のようなものは読んでいた限りではほぼ皆無。イギリスへの不信感、ファシズムへの期待、ロシアの脅威、そしてそもそものフランスの安全のためにそれぞれがドイツ軍の要求に屈し続け、それがいかに省みられなかったかというほとんど終始一貫した内容の本でした。
まあ、どっちかというとイギリスを味方に欲しかったらしいしなぁ、ナチス。。。
(というか、政権飛び越えてチャーチルに打診してたというか、ド・ゴールといい、選び方自体は間違ってないような、ある意味決然とした意思を持つ相手がいいんですね。)
これひょっとして、さっさと降伏し、なんでも言うこと聞きます、という態度そのものが扱いの悪さの原因だったのではないかと思えてならないのですが、なんせアメリカ側もヴィシー政権を正統政府と認めていたくらいなので、立場にはなんの不備もないんだよね。
しかしこの本を、フランスの方々はどう読むんでしょうか、複雑なのかなぁ。