「シャルルマーニュの戴冠」ドキュメンタリー・フランス史1、ロベール・フォルツ

“ドキュメンタリー・フランス史”(全10巻)の1冊めで、取り扱っているのがフランク王国メロヴィング朝の末期からカロリング朝への移行期、要するにシャルルマーニュ(カール大帝)よりも少し前の時代からなんですが。
シリーズ通して大雑把にフランスそのものの流れを掴めるようにしてるのかな?
(2冊めの「エティエンヌ・マルセルのパリ革命」もそんな感じでした。)


この本ではフランク王国が現在のフランス/イタリア/ドイツの領域まで広がり、そこで時のローマ教皇によって“西ローマ帝国”の皇帝という名目で戴冠した、という出来事を中心に取り扱っているのですが、まあ、正直これをぽんと言われてもなにがなんだかわからないのが普通というか、とりあえずローマ帝国はこの時代よりはるか昔に二つに分裂。
ローマを含む西ローマ帝国はその後皇帝が断絶、この時代には東ローマ皇帝のみが存在していて、フランク王国というのは現在の北フランスの地から始まって、どうもローマ教皇の意思も半ば絡んで領土を拡大。
西ローマ皇帝の地位も、普通ならば権力者当人の意図、としてみるのが自然だと思うんですが、これに限ってはローマ教皇側と見るのが通説で、実際どうも、その後の振る舞いや名乗りを見ていてもなんとなく及び腰というのもわからないでもない。
そしてヨーロッパ中心部で衰退し、辺境で細々と生き残っていた文化が集められ、最近の研究者によってカロリングルネサンス、と呼ばれる文化が花開き(正確にいうと後世文化が花開くための基盤となり)。
ところがシャルルマーニュの死後、世代もおかずにこの大帝国が崩壊するまでを取り扱っているわけですが、今の欧州の直接の初端はここかなぁ、という気もしますね。