「フランス革命−歴史における劇薬」遅塚忠躬

まあ正直、フランス革命(日本だと市民革命って呼ばれてることが多いような気がします)の細かい事跡を追うような本ではないですし、だったらその時代的評価を取り扱った本なのか、というとそれもちょっと違って、うーん、なんていうのかなぁ。
この“革命”が一体この国のどんな背景から生まれ。
要するに「どこ」から来て、「どこへ」と消えていったのかを扱った本でしょうか。


んーと、まず大衆(無産階級+農民)がいて。
その上に隣国イギリスの産業革命の影響を受けたこともあり台頭著しい産業界のブルジョワジー、そしてさらに上、ブルジョワジーの台頭により、少しずつ地位が低下していく王侯貴族という三階層があって、それが三つ巴の状態になって、それぞれ結びついたり裏切ったりを繰り返して徐々に泥沼化、恐怖政治まで出現し。
最終的に勝利を収めたブルジョワもその後に現れたナポレオンにさっくりと平らげられましたよ、というそんな結末。
ただ、ナポレオンはむしろ「パンと土地を」という民衆寄りの対策を取り。
革命の時代の有効な制度は存続させていき、そしてご存知ナポレオンこそがヨーロッパに平等思想を(既存権力の壊し屋としてですがw)もたらした、ということになると、フランス革命の遺志は残らなかったわけではないのかなぁ、と。
どうしてもこの時代に革命は必要ではあったろうけれど、もう少し悲劇は小さく出来なかったのか、それが出来る時期と人はいたのだろう、とも著者さんは言われるわけですが。
ジュニア新書の一冊で、確かに柔らかい言葉、難しい用語を避けて語られている本なのですが、ある意味で誰にでも読める本ではないかと思います、入門書には良いかもね。