「ヘンリー四世 第一部」シェイクスピア全集15、シェイクスピア

一つ前に読んだ(というより、時代が直接つながっているということなので順番に読んだのですが)「リチャード二世」の時代にクーデターによって王位を握ったヘンリー4世と、その息子である王子ハル、さらにその放蕩仲間であるフォールスタッフ。
そのリチャード2世が後嗣として指名した人物に味方する“ホットスパー”。
(ところで大して史料記述がないらしいんですが、、、たまに名前を見るような。)


なんとなくなんですが、うーん、なんか王子さまそんなに悪くないというか、すでに前作の段階でこのヘンリー4世はいまいちだな、と思っていたんですが。
要するに王位簒奪をした男の息子が、王位につく以前に遊んでたったのはなぁ。
冷静に考えると、それなりに思うところがあってもおかしくはないのかしら。
あと、影の主役扱いをされている(劇によってはれっきと主役)フォールスタッフ氏は、なんでしょうね、うん、シェイクスピアの時代の女王・エリザベス1世が彼の単独の劇も見たいなー、とリクエストしたというんですが(それもそれでえれぇ女王様ですね)、気持ちはわからんでもないというか、怠け者の太っちょで騎士の身分があるはずなのに酒代のために追い剥ぎまでこなすという完全なろくでもなしだと思うんですが。
いや、この特性がビタ一文変化しないのにも関わらず(世の中の乱れを嘆くどころか、戦争で辛い目に遭うのは善人だけだし、と大喜び、いっそ清々しいのか)、なんとも言えない魅力がある辺り、さすがシェイクスピアというべきなのか。
そもそも、放蕩の王子が再生していくのも唐突だし、戦闘だって始まったと思ったら終わってるし、とりあえず、クーデター側が影でぐたぐた愚痴を言い、王子とフォールスタッフがうだうだ語るだけの話がなんでここまで面白いのかは実に不思議です。