「福祉国家の闘い−スウェーデンからの教訓」武田龍夫

正直、悪い本ではないとは思うんですが後味が良くないっつーか。
“スウェーデンを極端に美化する傾向”からすると純粋にショッキングな本ではないかと思うのですが、そっからちょっとでも離れてるとこの本自体が鼻に付く。なによりも、スウェーデンを題材に「家庭にいる女性は幸せだ」という話をすべきじゃないでしょう、、、意見そのものが悪いんじゃなくて組み合わせがどっちに対しても失礼だ。
女性の進出分野が限られている、ということと正規労働が少ないということと、移民の地位が高くはない問題が並んでいるとかなり嫌な気分になれます。最終的にどっちの差別もしょうがない、と言ってなくても思ってるのが滲んでるんですよねぇ、うーん。
(ここまでならともかく、戦時下の強制断種手術も結局似た結論が、肯定なり否定なり意見を述べる必要があると思えないので...orz)(一例として紹介だけすればいい。)


永世中立国としての立場を維持するためにプライドや、実際に建て前以外の節を曲げたこと(どちらかへの勢力への国内通過許可や)、兄弟国である隣国を見捨てたこと、そして「揺り篭から墓場まで」のそれ自体は優れた福祉システムのための高い負担。
そのことに対する社会理解まではあるものの、その中で人間の触れ合いを求め、むしろ日本型の老人介護に学ぶべき部分があると言っている部分。あー、確かに先進国同士の中では対極ではないでしょうか、日本が家族負担が一番重いって意味でもあるけど、落ち着きどころが中間ではないか、という意識は自然なものではないかと。
寡黙で律儀な民族性に、プライドが高いわりに自分たちに自信がなく「正確で優秀だが面白くない」と言われてしまうような部分や、自殺率が高く、酒浸りになりやすく。
まあ、欠点も長所もあるのがどの国でもどの制度でも当然ってだけだよね。