「インカ帝国−太陽と黄金の民族」カルメン・ベルナン

先に同レーベルの本で「マヤ文明」を読み、これが済んだところで「アステカ王国」を読もう、ということを目論んでいるのですが。
まずマヤ文明は一旦発見されていたものの忘れ去られていたもので再発見という過程と、その後の素人同然のアマチュア発掘者が好き勝手に出てきた資料を改ざんし、少しはまともになったと思ったら今度は研究者が“オリエント文明の影響が”とか言い出し。
結局、30そこそこのアメリカ人とイギリス人の青年らが訪れるまで、まともな記録らしいものはなかったんだよ、というかなり悲しい過程を辿ったのですが。


このインカ帝国に関しては、とりあえずスペイン人とインカ帝国が出会い、スペイン人を客人として扱い、黄金を与えた彼らを宗教が違うことで野蛮人呼ばわりし(もてなしに対して暴力と略奪で返してくるもので、インカ側もスペイン人を“野蛮人”だと呼んだというのですが、これは正直、間違ってない気はします)、征服を為しえたのち。
いくつかの税収などの制度は征服後にも活用され、インカ王家とスペイン人との混血児なども含めた証言者がインカ帝国のことを書き残しはしたものの、どうも“ヨーロッパの価値観による”過去の歴史の美化が行われている節が、となるとさすがに信用しにくい。。。
(いや、その土地の価値観による美化だったら、それほど問題でもないと思うんですが、その地にかつてかけらほども存在も関係もしなかった価値観だといくらなんでもさぁ。)
まあ結果的に、この本に関してもどちらかというと、かつてのインカ帝国の在りし日の姿、というよりはヨーロッパとの出会いから以降、むしろ、史料(文字記録)や資料がどのように残されてきたたのか、ということに比重が大きいんですが。
やっぱりこう、これはこれでありですよね、今後読み進めるのにありがたいなぁ。