「アルフレッド王の戦い」C・ウォルター・ホッジズ

アルフレッド王というのはそもそも彼のお父さんの代に(末っ子だったっけ? ともかく直接王位を継いだのではなくて、お兄さんたちが順に戦死していったような時代でした)イングランドの七王国の統一を始め、当時はまだ首都ではなかったロンドンを含む南部イングランドの地を統一、さらに数代のちにイングランド統一、という唯一イングランドで「大王」の名を冠せられたという人物なのですが。
正直、その辺の事情については察するくらいしかなく。
さらにここに、着々と進行しているデーン系ヴァイキングの侵攻という状況もあって、むしろその侵略者に付いてはそれなりに記されているものの、ちょーっと児童書としては難易度が高いかな、という気はしないでもないのですが。
まあよく考えたら日本でも源平合戦那須与一の弓射ち”とか、背景が完全にわかるわけではないものの、なんとなく雰囲気みたいなものは伝わるものだしなぁ、イギリスの子どもにとっては馴染みがある内容ということになるんでしょうか。
(ただ、日本人だと大人でもちょっと難しいという気はしますがw)


この本はアルフレッド王と同名の片足の老人が、少年の頃の出身地、すでにデーン系住民が暮らすようになっている土地で、かつて王と出会った頃の話から語るという形式で始まりまして、ある意味で、なんでそんなことが出来るのかというとこの本の続刊である『アルフレッド王の勝利』でのデーン人との講和があるからのようなのですが。
この本では一端の王権の維持をするくらいまで、という時代の括りかな?
時代背景だけ説明を加えればさすがに人物の描写などは児童書だけに細やかですし、正直ちょっともったいないかなぁ、という気もするのですけれどもね。