「図説 ハプスブルク帝国」加藤雅彦

大雑把にかつてスイスの地にあったものの、スイスの国家成立とともにその地を追われ(すみません、この辺読んだけど難しくてわからなかった...orz)、ヨーロッパのあまり裕福ではなかったのだというハプスブルク家が、細かい詳細なぞは抜きにして「ヨーロッパにただ一つ」であるところの皇帝位を手に入れ。
逆にむしろ、それ以前には権威のみで命令一つろくに出来ず、国内の掌握は代替わりごとにやり直す必要があり、そもそも、帝位に付随する領土というものが事実上存在しなかったという(神聖ローマ帝国って本当になんなんだw)この皇帝位が、このハプスブルク家の中で継承されていくに従って徐々に形作られていったのがこの“ハプスブルク帝国”。
どちらかというとこの本では、帝国が形成されていく途上、というより、完成してから落日まで辺りに比重が大きくなっているようにも思いますが、まあやっぱり、ハプスブルクというと日本での世間一般のイメージもそんなところじゃないでしょうか。
スペイン・ハプスブルク(打ち止め)よりも、オーストリア・ハプスブルクだし。
30年戦争(カソリックvsプロテスタントを標榜してますが敵味方がごちゃごちゃ)、事実上の女帝マリア・テレジア。ハンガリー王国との二重王国、ボヘミアとの確執、バルカン地域の領土争いの中で第一次世界大戦勃発。
第一次、第二次世界大戦の過程で縮小して行く領土、といったところですか。


まあ、主題であるハプスブルク贔屓が目立つ、というようなことはないんですが、逆にハプスブルク以外の語りでちょーっと「ん?」と思うところはないでもないような、偏見というより、少し古いのかな、という気がすることはありますが。
現代に続くウィーンの世紀末精神や都市改造は良かった、この方はこの辺で読みたいな。