「バチカン−ローマ法王庁は、いま」郷富佐子

前半が先代ローマ法王(私はどっちかというと教皇表記派ですがw)ヨハネ・パウロ2世に関しての評判、後半が今のベネディクト16世に関してを主に扱ったバチカンの本で、この時点でかなり時期が絞られている上に、この著者の女性記者さんがそもそもバチカン付きの記者になった時点が先代法王の臨終の頃。
次のベネディクト16世が決まった直後に書かれた本なので、ある意味で現場ならでは、ということに関してそれほど分量があったわけでもないのですが。
とはいえ、着任後に先代死去、法王選出の選挙であるコンクラーベ
新法王に関してのインタビューと立て続けに経験されている上、良い意味で物の見方が女性的、まだ経験が浅いならではの疑問なども概ね読みやすさの要因だったんじゃないのかな。前半に主に歴史が語られ、後半で現在のカソリック教会の抱える問題点。
ある意味で先代さんは「久々のイタリア人」以外の法王でもって第二次世界大戦中はポーランドの地下組織にいたレジスタンス、ドイツ人枢機卿の数人の推薦を受けて法王に選ばれ、ユダヤ人のご友人を持っておられたことなどもあって、大変熱心に世界を回り。
日本などの非キリスト教国に門戸が開かれたのもこの方の代。
ソ連邦崩壊や中東問題などでも精力的に働き、様々な国に足を運び“空飛ぶ教皇”と呼ばれ、60歳そこそこで教皇になったために任期も長く、といいこと尽くしで実際にカリスマ的存在ではあったのですが、生活面などに関しては保守的。
20年のスパンで考えるとある程度仕方ない面もある気もするのですが。


ベネディクト16世は先代の片腕的存在でコンクラーベにて保守路線継続を宣言(宣言事態が異例なんだとか)、どうなるのかなぁってのは今しみじみと正しい視点だなと。