「日本の鉄道こぼれ話」沢和哉

この本の前に『日本の鉄道ことはじめ』を読んでいまして、この著者さんはひょっとして“重大な出来事を厳密に書く”というよりもこういう他愛のない話を緩いテイストで書くというほうが性に合ってるんじゃないかと思ってしまったのですがw
ここに出てきた餘部鉄橋というのは、こないだ鉄道総合研究所の番組(ブラタモリですが)を見ていた時に出てきていて、100年持ったんだよ! というのを聞いていたんですが、そもそも平地に敷くことを考えていたものの、その場合の住人の負担が大きすぎるから、ということで鉄橋にした、という話をここで読んで、ああ、そういう経緯で作られた橋だったからこそ大切にされたのかなぁ、と考えてしまうとなんかこう胸がじーんと。
実際危ない時期とかあったようなのですが、それを乗り越えての100年かぁ。
トンネルを作るのに外国の技師の手は借りない! と勢い込んでいたものの換気の概念がなくて慌てて駆けつけたイギリスの技師が換気口を付けてたり。
今の山手線が作られる時にキツネやタヌキが追い払われたという話や。
(正直新宿と池袋が混ざってる気がしたんですが、まあこの本なら別にいいやw)
隅田川支線のために道灌山が消えてしまったんだよねぇ、とか、タコ部屋の起源、馬車鉄道を作ろうとした清水の次郎長親分とか、当時の苦労や今から見るといまいちわかりにくい勘違い(囲炉裏をトイレと勘違いしてたりw)も、政治家が敷いたっていう線路の話も正直若干ふわふわっとした描写がしてあるのでむしろ憎めないというか、なんか可愛らしい。


この人の文章でもうちょっと突っ込んだ話とか聞いてみたいんですが、あんまり向かないのかな、というか鉄道関係の小唄だの作詞家は仮名の人が結構いるのね。なんでかな?
多少の予備知識はいりますが、鉄道趣味者にもわりと面白い本だと思いますw