「エリザベス」トム・マクレガー

正直借りた時点で表紙が映画のものだったので、「ああ、映画のノベライズなんだな」ということは考えたのですが、うーん、端的に非常に文章が読みやすく、実際の歴史を知っているとちまちまぽちぽちと引っ掛かる部分はあったものの、映画的な改変なんだな、と流せる範囲でもって、正直それほど印象深い人物がいたわけでもなかったので、別の歴史本を読む時点で邪魔にはならない、とは思うのですが。
さて、読んだところでなにを得たか、とか聞かれるとそれもなんというかうーん。
ある程度目立っていたというと、エリザベス1世の配下のウォルシンガムという得体の知れない存在などないでもないんですが、描かれてる部分が些か諜報というか、暗殺などの汚れ仕事だったので実際の記録とは違うんだろうな、とはすぐ見当が付きますし。
(ぶっちゃければ、人を使うことはあっても自分でやるんかい、とかねw)
(映画的な演出としても正直自然な範囲だしね。)
たまたま手に取って、読みやすかったのでその手間の分程度にはお返しはあったよん、とは思うのですが、お勧めするかというとまた別の話。


エリザベス女王には秘密の恋人がいて、ということはわりとフィクションでもノン・フィクションでも聞いたことがあるのではないかと思うのですが、よく考えると前半生と後半生で出てくる男性の名前が違うもので、ちょっとインパクトに薄れていたところこれを統一。
後にスコットランド女王との結婚話の出てくる貴族を敵対化させて。
時期がずいぶん後になるフランスの王子との結婚話(エピソードはそのままですね)の時期を前倒し。等々のちまちまとした統廃合で大変わかりやすくはなったのですが、正直、この人に関しては人生そのままのほうが面白いんだよね、うん。