『東京人』1993年05月号「江戸東京博物館完全解読100%活用ガイド」

昔NHKで『お江戸でござる』だったかな、そんなタイトルの舞台スタイルの劇仕立ての番組がやっていて、その番組に時代考証の女の先生がいらして、それがすぎうらひなこさんで、たまにドラマの主題ごとばっさりと切り捨てられてるようなこともある厳しい方だったんですが、でもけらけら笑いながら告げるっていう可愛い見た目に反しての酒豪っていうか、亡くなっちゃったけど好きだった人多かったろうなぁ、私も好きでした。
そのすぎうらさんがこの江戸東京博物館の模型に「この人物はどこそこ出身、どういう階層、どの年齢の人」という設定を決め、一体ずつ作っていったと聞いて、誰が提案したのかはわかんないけど、ああ、この博物館の評価が高いのはよくわかるよなぁと、正直。


両国国技館の近くに江戸の大火の鎮魂のために作られた回向院というのがありまして(順序逆なんですがw 神への捧げものである勧進相撲というものがかつてありました)、そこに東京大空襲のあとの記念碑が間に合わせのために作られて。
んでさらに、東京都庁が今の新宿西口へと移転したのちに作られたのが江戸東京博物館、それがケチ臭い東京の西側から東側への補償だったと考えるよりは、遅ればせながら作られた“東京大空襲の慰霊碑”だったと解釈しようぜって記事もありまして、おかげでなんか、港区の記事読んでも永井荷風が語った砂町の工場地帯とか、相撲の玉錦の記事を読んでも全て江戸東京博物館の記事の続きのように思えてならないというか、時代逆だよなw
でも、いろんな記事を間に挟んでくる『東京人』の記事チョイスも悪いと思うんだww 博物館の記事が終わったと思ったのに、江戸が美しかったかとか、エドワード・モースが開国直後に集めた下町のコレクションとか(これは博物館の記事です)、東京の水を守るための多摩地方の市民活動の話とか、なんか1冊通してすごく面白かったな。