「アルマダの戦い−スペイン無敵艦隊の悲劇」マイケル・ルイス

そもそも通常の戦争においてはお互いの国の事情を全て出し切ったのちに戦略(戦略は戦闘行為よりも前のことも戦闘行為より後のことも関わるし、そもそもそれ以外の道もいろいろあるよね)というより戦術の単位で最終的に片が付けられるものなのではないかと個人的に思っているのですが、この本はかなり徹底した戦術部分の本で、一応のそれぞれの国の事情は説明しているものの、むしろ戦闘行為においての条件を語るために触れられている二義的な体裁になってはいるのですが。
この本の場合は、どっちかというとそれで凄みが出ていたような気もします。


エリザベス1世の側には金がありません、けして悪い女王さまではないんですが、結婚できなかったのすらそのためと言われるくらい(さすがにないだろう;)のものすごい貧困状態です、スペイン防衛戦に過ぎないのでなんの領土も得られないこともわかっているので気付いたら戦費が削られていきます、文官が泣きながら自腹切って食糧買ってたよ…。
対するスペインのフェリペ2世は引き篭もりです、かなり頭の良い人物だったようなのですが、人間ではなくて書物を信じたようで、ええとその、統治においては現地の事情を省みず、戦争においては自分に都合の良いことを率先して信じる傾向があったようです。
そしてイングランド側は貧困により水が腐り、伝染病が発祥、スペイン側はそこまで酷くないものの徹底した消耗戦に巻き込まれ。
そもそもスペインの海軍は「まだ戦ったことがなく」、イギリス側は金がなく。
撃っても射程距離がなくて当たらない砲弾と撃ち抜くんだけど特に意味がない威力の弱いのでやりあってたそうです、誰か、誰か止めさせて! と言いたくなりました。
イギリスの勝ちだけど本当に粘り勝ちでしかないよ、どっちも悲惨すぎるわ!!