「仕手社員-銀座デパート戦争」渡辺一雄

正直申し上げてこの人だともうちょっとドキュメンタリー色が強い話が読みたいなぁ(ノンフィクションでなくてもいいんですけどね)、と思わないでもないんですが、アクが強い内容のわりにそこそこさくっと読めて、まあまあ悪い内容でもないんじゃないでしょうか。
ただ、要するに一人の社員に目を付けて別の若手社員を吊り上げ。
その若手社員に横領をさせて別の美術関係の会社を落とし入れ、その人物を使って仕掛けをするんだよ、というのは、理屈がわかんないでもないんだけどなんかややこしすぎて読んでてすっきりしないというか。
んで、関係者が数人口封じや降格やら始末されたりしているという。
悲惨っていうか人を人とも思わない無残なやり口ではあるのかなぁ、とは思わないでもないものの、そうして切り捨てて行くことの意味がどうもよくわからない。
あれだよね、サラ金ヤクザ紛いの人とそのつながりの美青年の二人だけで十分やれたんじゃないかという、妙に効率悪かった気がするんだよなぁ(元が辿れないように、ならまだしも納得行ったと思うんだけど、この二人から十分黒幕に辿り着けてしまうという)。
で、最終的な目的がとある百貨店の社長解任という、あれですね、揺さぶっておいて最後に畳み掛ける、という手はわかるんだ、ただ揺さぶるのに掛かった手間が膨大だよ!


とはいえ、嫌いかというとそんなでもないです、関西スーパーの経営を退いたおっちゃんが昔救えなかった子飼いの替わりに自分のところに転がり込んだ青年を救おうとする話だしね、けど、百貨店がなんかえらい大雑把に経営されてるんだよ、しかも関わってる人間が基本的にアレだよ、みたいな面以外で百貨店らしさがなくて残念でした。
三越の元社長がモデルかな、とだけ言われてたんですが“堤”原さんも気になるw