『ビブリア古書堂の事件手帖』#6 太宰治「晩年」

この回は多分このシリーズで度々出てきた「(客観的に見ても)市場価値の高い古書」と「あくまでも個人の思い入れ」とがすれ違いを起こすという側面の最たる回ではなかったかと思うのですが、なんだろう、やっぱり栞子さんの態度や主人公への態度は半分まではよくわかるんだけど半分が全くわからない。

主人公ってあれなんだよね、市場価値がどんなに高い古書でも人命と比べるのってとんでもないだろうってのは一貫してるんだよね。初版本でも3百万円でも、書き込みがあってもそもそも小口が切ってなくても、それでも命のほうが大事でしょう! て態度で栞子さんはそこを非難したいわけではないんだよね多分これ。

ただ、家族との思い出の絡んだ本を本当に大事にする気持ちを主人公が馬鹿にしたことは一回もないし、栞子さん自身も、そっちの家族の大事にしてた物って感覚のほうが上回っていたと思うんですよね。

つか、本を手に入れるために脅しをするわ誇大妄想を展開するわ、放火(これは違うけど)までしでかすわの相手に大事な本渡したくない! って言い方すればいいんだよ。

栞子さん、市場価値が高いことから話し始めてしまうんですよね、それ違うよ。

 

ただ、なんていうのかな、栞子さんが自分の感情には非常に疎いというか、自信のない部分があって、古本よりも人命が大事っていう感性を持つ主人公のことはむしろ眩しく思って、自分の思い入れを特に重要だとも思えなくて、という順序で捉えてしまうと。

まあわからないでもないってことなのかなぁという気もしないでもないし。

私でも命狙われてもあんな馬鹿の思い通りになるのは嫌だって思いますが、多分そこは叱られるな、言い方考えよう(微妙になんか話が変わってしまった気がする)。