『現代南アジアの政治’12』#8 インドにおける農村の政治と民主主義

この回ではカーストの違いによって今も実際に生活環境に差があること、ただ、それが完全なものではないというか「指定カースト」の中にもパーセントに現れる程度に(つまり百人に数人)地主や富農がいるってことが過去の時代との違いなんだろうな、というように思われるんですが、それでも貧農が96%を超えてたりするんだよね。やっぱり。

上位カーストだと地主や富豪が80%とか超えてる、どう考えても越えにくい壁はある。

そのグラデーションの状態を変化させる要因として挙げられていたのがこの回は民主選挙で、幾つかの実際の村を対象に総選挙のたびの変化を語る、という体裁になっていたんですが、変化が起こる事情ってのももちろん個々で全く違う。

 

例えば一つの村では支配的一族の長が村長になり、国政選挙に打って出て当選を果たし、というわりと独立後どこにでも見られた典型的な流れを辿ったようなんですが、これが次の世代、息子になる時点でその地位から転落したとか(ただ、一族そのものの経済状況は低下してはいない様子、人柄や能力はあるいは違いがあったのかもね)。

んで、その支持層がどこに行ったのか、というと、「上位後進カースト」、上から2番めのカースト階層の中でもっと低い貧農に対する政策を行っていた政党の支持に廻ったのだとか、やっぱりあれですね、そこまで急激には変わらない。

他にもB村が最低行政単位5000人という既定になった時にC村と合併し、B村の村長が落選しC村からの立候補者当選(2票差w)、したのち、必ずしも同じ人物の支配が続かなくなったとか、なんかそれぞれの出来事はその事例のみで説明出来る事情も含まれているんだろうな、と思えつつも、こういう変化が全国的な規模で、ゆるやかに起こってる。

それが民主選挙によってインドが得たものだとしたら、そら純粋に素晴らしいよなぁ。