「爽やかなる情熱-電力王・松永安左エ門の生涯」水木楊

電力王とか言われても正直、ついこないだまでの私も含めて(戦前の鉄道やってたらなんか当たり前みたいに電力関係が出てきたもので)戦前の発電や配電事情をご存知の方からあまり多くないんだろうなと思えないでもないんですが。

とりあえず戦前は基本的に群雄割拠で統合合併を繰り返し、自己再編の波も来つつはあったものの戦争という時間切れにて国有化され、ここに出てくる松永氏というのは戦前にその流れに破れた方だったんですが戦後に他の面子が公職追放された中で華麗に復活し。

既得権益を守りたい日本発送電(全国一律)との間にものすごいバトルを繰り広げ、結局GHQを味方に付けて現在の9分割体制にしたとかしないとかそんな方です。

なんか一方的に日本発送電を悪く言い過ぎてるんじゃないか…、と一瞬だけ思ったんですが、よく考えなくても完全な戦時統制だったのでGHQに煙たがられるのも、もともと企業家だった松永氏に嫌われるのも当然の気がする上。

ほとんどの幹部が9分割された先で生き残れるのに「全体の権限が落ちる」という趣旨で頑張っておられるのを見てさすがに先に感じた懸念を引っ込めました。

松永氏があまりにも派手で手段を選ばないから微妙に感じただけでこりゃどうしようもないっていうか、ここまで酷いとなんかそれも仕方ない気がする。

 

この松永氏は戦前“東京電力”というのちに東京電灯という会社と合併した会社を持ってまして、どっかで聞いたことが、と思ったら本来「関東電力」と付けるべきところにゴリ押ししたんだよ、という顛末でした、あー…、でもまあ実情そんなも(ry

初期は完全な山師ですが汚れを厭わず働く人ではあって、現場に踏み込んでる間にしっかりした信念を育てていったような人生でした。でも死ぬ直前まで無茶だったなww