「人われを事業の鬼と呼ぶ-浅野財閥を創った男」若山三郎

とりあえず本の終盤の少し前辺りで東洋汽船が日本郵船に吸収されてしまったのは「まあなんかしょうがない…」と思ってしまったというのが正直なところだったのですが、日本郵政の横暴に立ち向かうためって部分と、安田善次郎のバックアップがなければもっとずっと早くに潰れていたような気もしますし。

まず、もともと強大で傲慢な三菱が国から郵政事業を委託されまして。

郵船汽車三菱会社となりまして、さらにその対抗で渋沢栄一以下の連合で作られた大同運輸も合併、事実上の吸収をされてしまって、という中で、無理をしないとなかなか対抗は出来なかった、というのもわからないでもないような気もまたします。

この大同運輸に関わっていた浅野総一郎日本郵船からは身を引き、さらにグレードアップして横暴になった日本郵船に対抗する意味で東洋汽船を設立。

サンフランシスコなどとも始めての契約を取り交わしたり、と強引だったけれど上手いことやっていたとは思うんですが、浅野氏の拡大志向もやっぱり強すぎたかなぁとも思え。

 

いや浅野財閥の本ではあるんですが、前に読んだ同じ著者さんの『東武王国』と同じくすごく読みやすいんですけど、どうも微妙に産業への興味じゃなくて偏っててね。

東武』だとビール業界でしたし(別に好きで関わり続けたわけでも;)、この本だと汽船っていうか、もともと鉄道貨物線に関して浅野財閥に関して名前を聞くことがあって手に取ったので、鉄道に関してはともかく、コンクリート産業に関しては期待していたんですが…。

上で書いている安田善次郎は4大財閥の一角、安田財閥の方ですね。

砂糖と紡績以外のほとんど全ての事業に関わったというだけあって、非常に精力的、拡大志向の強い人でしたが、最終的な目的意識は弱かったのかなとはちょっとw