「光の教会-安藤忠雄の現場」平松剛
- 作者: 平松剛
- 出版社/メーカー: 建築資料研究社
- 発売日: 2000/12
- メディア: 単行本
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安藤忠雄というのは、うーん、多分当代随一の「変わり者の建築家」なのではないかと思うんですが、その代表作、というか出世作がこの“光の教会”で、予算がなくて安い床材を使ったとか、壁に入っている特徴的な切れ込み(十字の形にガラスが嵌まっているので素人目に見てもガラスの上の部分の強度調整は大変なんだ;)、入り口がなくてスロープのようになっているというかなり不思議な建築なんですが。
正直、少しは予想してたけど、あれ作った時も作ってからも家主がものすごい苦労してるんだな、というのがコミカルな口調でよく伝わってきました。
軽込牧師(光の教会に住んでおられる牧師さん)と那須さん(足りない予算でほとんど持ち出しで請け負ってくれた建築会社から来てた調整役の方)が特に印象的だったんですが、あんまり人間としていい人なので止めたくて仕方なかったです、苦行かこれは?!
なんかもう建築会社の社長さんは、悟り開いて向こうの世界に行っておられるような風情だったので、多分そういう問題じゃないとは思うんですけどね!
ただでさえ入り口ないから夏も冬も大変なのに冷房も暖房も入れたくないって安藤氏が言い張るわ、さらに「ガラス取り払ったほうが外綺麗!」とか言い出すわ、軽込牧師の家まで教会に相応しい建築にしたいって狙ってるわ。
いくら芸術家だからって大概にせいよ、貴方自身の家も確かに結構苦労しそうだけど!
みたいな感じで内心でシャウトしっ放しでした、ただ、この光の教会とともに生きる人たちが光の教会を作ってる段階から特別なものだと感じ、その後もどんな苦労も構わないと思う気持ちがわからないってことはないんですよ。
それにしても本当に、建築って一体なんなんだろう、不思議だなぁ。